不動産投資は、何かと投資をしている人が動かなくても良いというイメージがありますが、こと不動産投資に限っては、そんなことも言っていられません。もちろん通常の労働よりははるかに手間がかからない資産形成方法ではありますが、自己保有物件を人に貸して収益を得るということになりますので、やはりそれなりにリスクが生じます。
ここでは、借主に焦点を当てて不動産オーナーがリスクになるという場合を想定して、それらの対策方法をまとめました。
1. そもそも不動産投資とは?
そもそも不動産投資は、いわゆる純金・純プラチナの積立投資のようなものではなく、不動産物件を自己資金なり銀行融資で得た資金によって購入し、その物件を人に貸すことで初めて収益が発生する投資の手法となります。
ここでは不動産投資をして所有者になった方のことを不動産オーナーと定義させて頂きます。
通常の投資とは異なり、いわゆる「泥臭い部分」についても不動産オーナーが対応しなければならないケースも十分に存在します。しかし、この辺りも含めて副業やセカンドライフの新しい稼ぎ方として不動産投資に打ち込む方が多いのも特徴です。
FXなどの投資よりもより人と密接に関わることになるのが、こちらの不動産投資と言ってよいでしょう。
その他オーナー兼「大家」を投資家本人が行うという場合には、直接入居者とのやり取りも発生するのが不動産投資です。
不動産投資の種類については「ワンルームマンション経営の全て【2020年版】」にまとめていますので詳しくはご参照ください。
ワンルームマンション経営の全て【2020年版】
多くの場合はこのあたりの業務を管理会社や管理人に委任することになりますが、オーナーによってはこのあたりの人との付き合いも全て自分が担当する、ということができます。
2. 不動産オーナーは借主との関係性が重要
このように不動産投資は状況によって相場の変動など、機械的な部分の他に「借主との関係性」という、一種人間臭い部分が重要になるケースもあります。
特に不動産投資については借主との関係性が良好でなければ、思わぬトラブルを起こしてしまったり、あるいはお客さんという存在であるはずの借主がいつしか不動産投資家本人の大きな敵や利害対立関係にある人になってしまったり、ストレスのタネになってしまうことも十分に考えられます。
3. 借主の定義
借主、一般的には賃借人とも言いますが、あなたが保有している自己保有不動産や自己保有物件の部屋を借りて、そこに住まう・あるいは事務所として稼働させる人のことを言います。つまり不動産投資家から見てみれば、お客さんに他ならないわけです。自己保有物件には必ずお客さんたる借主がいなければ、ビジネスが成立しません。そういった意味でも借主は大切にされるべき存在と言えるでしょう。
しかし、最近は様々な借主がおり場合によってはオーナーや大家、または管理会社とトラブルを頻繁に起こす借主も存在します。
4. 借主との間で考えられるリスク
借主が原因となるリスクには、どのようなものがあるのでしょうか。まず一番考えられるのは家賃の未払いではないでしょうか。
基本的に家賃の未払いというのは、どう考えても不動産オーナーにとってリスクでしかありません。
家賃が入ってこなければ、当然ですが不動産投資の収益も発生しないということになってしまいます。こうなってしまうと問題が長期化する恐れもありますし、そのままその物件が塩漬け物件のような形になってしまう可能性もありますので、早急に対処をしていかなくてはなりません。
また考えられるリスクとして、最近は民泊の問題も考えなくてはならなくなってしまいました。
民泊というのは、いわゆる一般的な家庭や物件、数前に有料で人を宿泊させるようなシステムのことを言います。Airbnbなどが有名です。
しかしこの民泊も、最近はホテル業の認可などを取ることなく、普通に賃借契約を行っているマンションやアパートの一室に有料で様々な旅行客を宿泊させたりする問題が発生しています。
オーナーたる不動産投資家は、原則的にその保有物件に住んでいる人の情報を不動産管理会社になり直接契約なりで、常に把握することが従来はできていました。しかしこのような民泊といった形の契約になってしまうと、常日頃からどのような人物が自己保有物件に出入りし、そして滞在しているかということを把握しづらくなってしまいます。
この状況をリスクと言わずして、何と言うべきでしょうか。とにかく、民泊のような形で自己保有物件が使われているという状況も、場合によっては排除しなくてはならないリスクとなります。
この民泊問題については、もう少し深掘りして「二手・三手先」を考えてみることもできます。それがいわゆる、ご近所トラブルや騒音トラブルという部分です。
どうしても民泊ビジネスを提供する相手が旅行客ということになると、日本の文化圏ではない他の国の住民が自己保有物件に滞在することもリスクとしては想定されます。
しかし、こういった日本の文化圏ではない方々が自己保有物件に入居したり、あるいは滞在したりするようになると、様々な文化の違いや風習の違いから近隣の方々とのトラブルを起こしかねません。
また宗教的な事情によって、日本国内ではなじまないような行動を起こされる方もいらっしゃいます。特に夜の時間帯に音楽を流したり、宗教的儀式を行う、などの行為は無論、一定の理解をしなければなりませんが、周辺住民が100%それらを全て理解して受け入れてくださるかと言えばそうでもありません。
この辺りのセンシティブな問題にも対応しなければならないのが、不動産投資家としての役目となる可能性もあります。このような部分を排除したい、ということであれば、とにかく民泊のような形で物件を貸し出すことを控えなければなりませんし、また一般的な賃借契約を装った民泊業者の契約も不正がなくてはなりません。
5. 不動産オーナーができる対策
このように借主という要素が存在することによって想定されるリスクには様々ありますが、大きく分けて、借主が起こしうるリスクについては賃料の未払・騒音などによる近隣とのトラブルという二つに大別することが可能ではないでしょうか?
このようにして想定されるリスクについては、事前にある程度排除するようにしたり、様々な対策を事前に講じるのがベストと言えるでしょう。最初のリスクである賃料の未払リスクについては、ベターな方法として不動産管理会社に賃料の回収を委託したり、家賃保証会社に介入してもらうのがよいでしょう。
ただし、家賃保証会社が入っているとなかなか入居者が集まりづらい、という場合があります。それが家賃が元々安めに設定されており、そこが入居者募集のセールスポイントなっているような物件です。家賃の安さを求めて入居する物件を探している入居者は基本的に経済的に困窮されるリスクも0ではなく、この場合に家賃保証会社が入っていると与信調査で結局入居まで至らない可能性もあります。
このような場合には家賃の保証会社の介入を必須とする代わりに、連帯保証人を立てるというのも良いでしょう。このとき、家賃の「保証人」という形ではなく、必ず「連帯保証人」として契約をすると良いでしょう。
法的にも保証人と連帯保証人では責任の範囲や万が一の場合に請求できる順序やスキームに差がありますので、家賃の未払いリスクを最小限にしたい、という場合には連帯保証人として契約をするのが肝要です。
6. 管理会社は役に立つ?
不動産投資において、管理会社もまた、不可欠な存在です。物件の管理や入居に関するスキームを請け負ってくれる場合もありますし、そもそも入居者を取り次いでくれるのも不動産管理会社または不動産屋ということになります。管理会社は、原則的に入居者からの要望やクレーム、その他連絡関係について対応してくれますが、万が一のトラブルの際にはなかなか動きが遅いということもあります。
ただし、不動産投資に慣れていない、又は物件の管理や入居者の管理にそこまで知見がない、という場合には管理会社を必ず入れておいた方が良いでしょう。
不動産投資を行っていて、何かトラブルに巻き込まれてその分投資家の自由な時間が失われる、というのは本末転倒だからです。