大原則として、公務員は副業で報酬を得たりお金を得るような行為は禁止されています。
同様に、会社員でも副業禁止規定のある会社に勤めている場合は副業の報酬を得ることは禁止されます。
しかし、副業禁止の会社員や公務員でも不動産投資に勤しんでいるという話を聞いたことはありませんか?
これは単純にルール違反を犯しているのではなく、きちんと許可を取って、副業に勤しんでいるケースがほとんどです。
ここでは副業禁止の公務員や会社員でも、不動産投資で報酬を得ることができる理由についてご紹介していきます。
1.公務員は副業不可?
2.公務員が副業してはいけない理由
3.公務員が副業をする方法はないの?
4.不動産投資が副業に該当しないって本当?
5.副業解禁に向けての法律面の動き
6.公務員・副業禁止の会社員のリアルな副業事情とは
7.FXは副業になる?
1. 公務員は副業不可?
公務員は、副業することができません。これは法的にもきちんと定められている内容で、例えば国家公務員の場合は国家公務員法という法律によって副業の禁止が定められています。
以下の地方公務員法第38条に記載されております。
参照:https://roppou.aichi-u.ac.jp/joubun/s25-261.htm
地方公務員の場合は準ずるべき法律が国家公務員法とはなりませんが、様々な副業規定などによって国家公務員とほぼ同様の基準で副業が禁止されています。
また、副業禁止規定のある会社に勤めている会社員の方も、原則的に副業でお金を得ることはできないようになっています。会社に言わないで副業でお金を得ているケースもありますがこの場合、税金や源泉徴収の関係で会社に副業していることがばれてしまう可能性もあります。
つまり、原則的に公務員・副業禁止規定のある会社員は副収入を得ることが禁じられているというわけです。
これだけ聞くと絶望するかもしれませんが、諦めるのはまだ早計です。
副業の方法がないということではありません。
その方法については「3.公務員が副業をする方法はないの?」にて詳しくお話していきます。
ちなみに規則を破った場合、公務員は原則的には懲戒処分になります。
懲戒処分は非違行為の重さによって主に以下の4種類に分けられます。
副業がばれた時にどの懲戒処分になるかですが、特殊なケースを除き、3か月の停職もしくは減給が比較的多くなっております。特殊なケースというのはその副業自体が犯罪の温床となりうるものだったり、公務員の業務中に居眠りが起きていたり公務員としての信頼を損なっていた場合などが該当します。そのような場合はより重い懲戒処分となり、免職(クビ)になった事例もあります。
公務員の懲戒処分の状況は実は以下の図のように総務省から毎年公開されています。
平成29年度における地方公務員の懲戒処分等の状況(平成29年4月1日~平成30年3月31日)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000608362.pdf
この内訳の中で副業違反に該当するものは「一般服務違反等関係(1627人)」に含まれますが、一般服務違反等関係は様々な違反が含まれますので副業がばれた人数までは公開されていません。
感覚的には少ないとはいえ、1割は該当するとすれば160人以上が毎年副業がばれて懲戒処分を受けていると推測されます。
まずはこのような厳しい現実を書かせて頂きましたが、勘違いして副業OKと思い、思わぬ懲戒処分を受けてしまう人を減らすためでもあります。
原則禁止ということはお分かり頂けたかと思います。
それではどうすれば副業ができるのか、お急ぎの方は「3.公務員が副業をする方法はないの?」に移動して頂いて大丈夫です。
その前にまずは何故公務員は副業が禁止されるのか、理由をみていきましょう。
2. 公務員が副業してはいけない理由
公務員が副業などでお金を得ることが禁止されているのには、もちろんきちんとした理由があります。
大きな観点から見ると国と国民の利益を守るために禁止されています。
例えば、公務員が自分の会社を経営していたりすると、自分の会社が有利になるように仕事上の便宜を図ったりする可能性が多いにあります。
副業など他の仕事に従事することによって、疲労を起こしてしまう可能性もあります。
そうなるとそもそも取り組むべき本業に精神や肉体を集中させることができず、パフォーマンスが低下してしまう恐れがあります。
また、犯罪の温床となるようなビジネスをして社会問題にでもなると、公務員の信頼を損ねてしまうことになります。公務員の信頼が損なわれるということは国としての信頼も低下することに直結します。
国民から税金を徴収し、それを元に国家の運営をしているので、信頼を損ねるということは歴史を振り返ると最終的には国家転覆に繋がるということになります。
単純に、国を信頼して税金を納めているのに、その税金で生活をしている公務員が裏で悪いことをしていると知ったら国民からの信頼はなくなってしまうということになります。
そのため公務員は私利私欲は優先せずにフェアな立場でなければいけず、そのためフェアな立場を崩す可能性がある副業が禁止されているということです。
法律的には1章で述べた「地方公務員法第38条」以外に国家公務員法では以下2つのことが定められています。
参照:国家公務員法
https://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail_main?re=&vm=1&id=2216
これらの法律から、原則的に公務員は副業をすることが禁じられているというわけです。
そして世間的に守秘義務が求められる、公務員という仕事においては、副業に取り組んでいる際に何かの拍子で、本業で知り得た機密情報を漏洩させてしまう可能性があります。
また公務員という立場で知り得た情報を悪用して副業に勤しむというケースも、公平性の観点からあってはならないこととなっています。
この部分も、公務員は副業してはいけないという決まりの根拠となっています。
副業禁止規定のある会社員の方も、ほとんどこれと同じような理由で副業が禁止されています。平たく解説すると、副業にリソースを割くことで本業のパフォーマンスに影響が出ることがあってはならない、ということと、守秘義務が守られなくなる可能性があるので副業を許可するわけにはいかない、というのが主だった理由となります。
例えば日銀が国債を購入するタイミングで株価が上がるのを見越して、株を買っておくような、インサイダー的な取引をされては国民の不利益になるからです。
もしそういった行為がバレルと解職はもちろん、罰金もしくは禁固刑などの実刑になる可能性がありますので、インサイダーにならないように気をつけましょう。
具体的には以下の罰則になります。
参照:https://www.hs-sec.co.jp/bluesky_net/rule/all/insider.htm
インサイダー情報を入手しやすい立場にある公務員はチェックされがちなので、しないことが前提ですが、まず基本的にはバレルと考えていいでしょう。
実際に年間で30~40件ほどのインサイダー取引が摘発されています。
参照:証券取引等監視委員会 https://www.fsa.go.jp/sesc/actions/torichou.htm
3. 公務員が副業をする方法はないの?
それでは公務員・副業禁止規定のある会社員が副業をすることはできないのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。ここまで懲戒処分や法律面を重点的に解説し、驚かせてしまった場合は申し訳ないのですが、弊社としては副業できるのであればするべきだと考えております。
実は公務員でも会社から副業を禁止されている会社員でも、副業に取り組むことができるケースがあります。
一部例外として、神戸市や生駒市ではガイドラインさえ守れば副業自体が禁止されていません。
ここでは主に、国家公務員が副業をする方法について解説していきます。
結論から言うと、不動産投資業・不動産賃貸業と呼ばれるような業種や、もしくは農業の一部などに関する仕事であれば、ある程度の規模の範囲内で例外的に副業に取り組むことが認められています。
また、先ほど記載したような、インサイダー的な取引をしてはいけないという制限はありますが、株・FX(為替取引)・仮想通貨などの投資も可能です。
これは公務員の副業禁止の原則に反することなのではないか?と思う方もいらっしゃることでしょう。しかしよくよく考えてみると、公務員の場合でもやむを得ず副業に取り組まなければならないケースもあるのではないでしょうか?
例えば、相続などの関係でいきなり膨大な農地を受け継いでしまった場合や、アパートの大家をしていた親類が亡くなり、その遺産相続の一環として不動産/不動産賃貸業そのものを相続してしまったというケースもあるでしょう。
このようなケースにおいて、全て一律して副業を禁止してしまうと、これはこれでまた問題が出てくるというわけです。
この辺りの事をきちんと国の方でも考慮しており、こういった事情のあるケースについては例外的に副業を認めるケースもあります。
実際に公務員の内、副業をしている人はどれくらいいるのか、弊社で調べてみましたがそもそも副業している事を隠している公務員が多く正確なデータは取れませんでしたが、一般会社員は1割(約600万人)ほどが副業している統計が取れており、それ以下であることは確実です。
4. 不動産投資が副業に該当しないって本当?
不動産投資は副業に該当しない、というのは半分本当で、半分は誤った情報となります。
というのも公務員の場合ですが、不動産投資はある程度の規模までであれば副業に該当しない・あるいは例外的に認めるといった判断になることがほとんどです。
その判断基準は年間の賃料が、500万円以下の収入であること。
つまり不動産賃貸業で年間500万円以上を儲けがあるとこれは副業に該当してしまいますが、500万円以下の収入であれば副業を例外的に認めてもらうことができるというわけです。
また、その不動産賃貸業や不動産投資の規模についても、管理している物件数が10棟未満・5室未満であることが求められます。
これ以上の規模になってしまうと、国家公務員の場合は人事院に対して事情を説明し、その許可を得る必要があります。要するに個別の許可などが必要になるということです。
反対に言ってしまえば、これ以下の規模であれば何らの制限を受けることもなく不動産投資を行うことができるというわけです。
順当に投資をしてこの規模を超える場合は既にかなり成功している状態なので、公務員を辞めてしまっても収入としては問題がないと言えるでしょう。
例えば家賃10万円のワンルーム4室運営しても年間で480万円の売上で、条件の中に収まります。
これを超える規模になろうとした時に、仕事を辞めて不動産など自営業もしくは法人化にすることを検討するのがスマートではないでしょうか。
不動産投資をする場合に1つ重要なことがあります。
それは管理業務を委託することです。不動産の運営は本当に多岐にわたる業務があります。
平日日中は一切の対応ができない公務員にはまず不可能と言えます。
参照:https://theredocs.com/knowledge/property_management
例えば、区役所の職員が不動産でトラブルが起きたからと言って、平日職場を抜け出し現場に行ったりしたら、区役所にとんでもなくクレームになってしまいます。
その点を考えると管理は委託する以外に選択肢はほぼないと言えます。弊社もその一つですが最近では管理業務も一括で依頼できる不動産販売業者も多いので、お気軽にご相談ください。
5. 副業解禁に向けての法律面の動き
そもそも副業禁止はおかしいんじゃないかという声が大きくなり、政府自身が2018年から推進している働き方改革(働き方改革関連法は2019年4月に施行済み)もあり、副業禁止についても政府自身により見直されています。
昨年、閣議決定された未来投資戦略2018では
「国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備を進める。」
という文言が明記されました。
参照:未来投資戦略2018
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2018_zentai.pdf
要約すると、公益的活動等を行うための兼業に関しては副業を認める方向で進める、ということになります。
公益的活動等という部分が非常に重要になりますが、言い換えるとボランティア、もしくは福祉サービスということになります。
どこまでが福祉サービスに該当するかは新しく法律が制定もしくは改定されてから決まっていくと思われます。
このように法律面では解禁に向けて動きがありますが、神戸市や生駒市のように法律の制定に先んじて一部副業の解禁を始めた自治体もあります。
働き方改革関連法が施工されたこともあり、一部副業の解禁を始める自治体は増加していく傾向にあると予想されます。
6. 公務員・副業禁止の会社員のリアルな副業事情とは
公務員または副業禁止の会社員が行っている、リアルな副業事情についてもご紹介していきます。
まず公務員の中で多いのは、副業としての賃貸や不動産投資という部分があげられます。これはやはり、先ほどご紹介したような例外規定があることにより大手を振って副業に勤しむことができるというポイントが支持されている大きな理由の一つです。
また、こういった規定があることについては代々先輩職員から後輩職員へ連綿と受け継がれるような性質もあり、こういった事情も手伝って公務員には不動産投資が人気です。
副業禁止の会社員は投資よりも、もう少し規模の小さいスモールビジネスに勤しむケースが見られます。
というのも副業禁止規定のある会社員の場合、税制上問題のない範囲であれば副業しても源泉徴収の関係で会社にばれるということが少ないため、ローリスク・ローリターンという形で副業に勤しむことがあります。
もちろん不動産投資に勤しんでいる副業禁止の会社員もいますが、それよりも自分のスキルをスキルマーケットで売ったり、副業のために週末ライターなどをするというケースもあるでしょう。
一定額までの収益であれば税制上の申告が不要なケースもあり、このあたりも副業禁止の会社員がローリスク・ローリターンな副業に手を出す理由と言えるでしょう。
もちろん国家公務員と同様の基準で不動産投資などについて副業を例外的に認めている企業もゼロではありません。このような場合には大手を振って、公務員同様に副業禁止の会社員も不動産投資に勤しむことがあります。
様々な副業がありますが、個人投資家は平均すると不動産でしか利益を出せていない統計がでている点も注目です。
7. FXは副業になる?
公務員や、副業することができない会社員の中には、FXで収益を上げているという人も一定数存在します。
しかしこれは、副業規定を犯していることにならないのでしょうか?実際に会社の先輩に、FXで出た収益で食事をご馳走してもらったというケースもあるのではないでしょうか。
これは、原則的に副業にはあたりません。例えばFXは自分の資産を運用しているだけに過ぎず、もちろんハイリスク・ハイリターンなことではありますが副業として報酬を得ているという性質ではないためセーフ、というケースがほとんどです。
ただしアウトな事例も存在します。
公務員としての職務中・あるいは会社員としての勤務時間中にFXの相場をチェックしたり、売り注文や買い注文などを出すなどの行為は職務中に行うべきことではないため、懲戒処分の理由になることも考えられます。場合によっては、携帯電話やスマートフォンからFXの相場をチェックしたりすることもできるためついついやってしまいがちです。
しかし特に公務員の場合は一般市民から「勤務中にFXの相場を見ている公務員がいる」と通報されてしまうこともあり、ここが元となって懲戒処分などの重大な事態を引き起こすことも考えられますので注意が必要です。
公務員は国民の税収で生活をしている訳なので、目を付けられやすく、チクられやすいという訳です。しかし、本業の業務中に副業をしてはいけないという点は会社員でも同じなので、自制心をもってコントロールできるのであれば問題ないでしょう。
ただし、FXは個人投資家の参加者全体でみると9割の方が損失を出しているので、その1割に入ることができる自信と知識がないと副業としてはお勧めできません。
知識・経験がないと確実に損失を出すので、FXはギャンブルと揶揄されることも多々あります。
以下データもご参照ください。
参照1:https://yuttari-fx.com/archives/41361037.html
参照2:https://jp.forexmagnates.com/2014/10/14/regulation/17882