2021年6月1日
週刊Newsweek 6/8号発売
顧客に合わせた無理のない提案で、利益の最大化を図る不動産投資。
フロンティア・インベストメント代表取締役 高見北斗
インフレへの懸念から、注目を集めている不動産投資。
年齢や資産などを総合的に判断し、顧客に応じたきめ細やかな提案で実績を積む。
コロナ禍において、各国の政府や中央銀行が金融緩和と財政出動のために市場に資金を大量に投下したことで、インフレへの懸念がささやかれている。
そんななか、注目を集めているのが不動産投資だ。
「資産防衛策として不動産を購入される方が増えています。世界的な流れでもありますし、非常に有効な資産形成の手段だと思います」。
大学卒業後、大手不動産販売会社へ入社。その会社は自社でマンションを建て、投資用区分マンションとして販売。賃貸の管理まで一括して行っていた。
新築マンションを販売するなかで、次第にやりづらさを感じるようになった。
「初めてのお客様は退職を控えた校長先生でした。退職を間近に控えた方の場合、物件の購入に退職金を全額使うと、老後資金が現金で残りません。
中古の物件を購入して、ある程度の現金は手元に残す選択肢もあっていい。そこでは提案できる幅が狭く、ベストな提案がしたいという思いが募りました」。
業界最安値の管理手数料で、同業他社との差別化に成功。
2014年に起業し、顧客の状況に応じたオーダーメイドの賃貸経営に特化する事業戦略を練った。
主に20〜45㎡の新築、中古のワンルームマンションを扱いながら、無理のない資産形成プランを提案している。
「例えば25歳のお客様が新築を35年ローンで購入した場合、60歳を迎える頃には無借金のマンションオーナーになれますし、以降は家賃がまるまる収入になります。
一方で40代や50代の方だと、自己資金とローンを併用していただき、家賃収入とローンの期間や支払額とのバランスを見ながら物件を提案しています。
自己資金が少ない場合は、割安な地区の中古マンションをローンで購入。ローンの支払い額や期間に対して、どれだけの家賃収入が入ってくるかを見極め、プランを組みます」。
ローンを組む際には、団体信用生命保険(団信)やがん特約に加入すれば保険代わりになる。
条件によってはフルローンを組んでも家賃収入でローンを返済することができるケースもあり、その場合は保険や貯蓄として機能する。
返済が終われば、家賃収入を老後の生活に充ててもいいし、売却してキャピタルゲインを狙うこともできる。また最初の数年間は節税効果が得られる。
そして、賃貸経営の懸念点といえば物件の管理だが、同社では入居者の募集や家賃の集金・送金、更新手続き、退去時の清算など、すべてを一括で代行。
それらにかかる月間管理手数料を、業界最安値ともいえる税別900円に設定している。
「一般的には家賃の5%が多いところ、お客様の利益の最大化と他社との差別化を図るために決断しました。家賃10万円の物件なら、年間で5万円程度収益がアップ。薄利多売でやっています」。
現在、特に力を入れているのがデジタル化の推進である。月に60~100回の頻度で『モンスターズマネー』と題したWebセミナーを開催。
電子契約システムを取り入れているため、セミナーでの提案から商談、契約、決済までのすべてを、オンラインで済ませる顧客もいる。
「ただし、不動産投資のリスクをきちんと理解していただくには、人間でないと説明しきれいところもあります。
将来的にはデジタル化で空室率を示すなど、さまざまなリスクを数値化。資産価値がどのように変化していくのかも含めて、AIでの管理を考えています。
最終的に目標にしているのは、Webサイト上ですべての手続きができるネット保険のような存在。必要経費を削減し、物件の販売価格を下げることでお客様に利益最大化に貢献したい」。
コロナ過がもたらすデジタル化とインフレ懸念によって、不動産投資への注目はますます高まる可能性がある。
その結果、デジタルトランスフォーメーションの実現によって、老後の不安が払拭されるような大きな変革が期待できるかもしれない。