売却しない限りは数十年と経営を続けるマンション経営において立地は非常に重要なポイントとなります。立地選びがうまくいくと末永く経営を安定させることができるでしょう。逆に立地選びで失敗すると後々大きな損失に直結することとなります。
一度マンションを購入した後は立地は変えることができませんので、後悔しないように選ぶ必要があります。この点について今回コラムにて解説していきます。
立地に関してですが、重要なポイントは感覚に頼らずに数字を見て決めるという事です。
都心の駅だから何となく人口が多そう、賃貸の需要が高そう、ベッドタウンだから一度入居が決まれば長く住んでくれそう、など色々な観点がありますが、全てにおいてできる限り実際のデータ上の数字を見て判断することが重要です。
実際に数字を見比べることによって、人口が多そうだと思ったけど実際にはそうでもなかった、年々人口が減少していることが分かった、など様々な気づきがあります。そして無駄なく最適な立地を選びやすくなります。
不動産の営業もよく「すごく需要があります」だったり、「入居率がかなり高いエリアです」などのように感覚的な言葉だけで説明されることが多いのですが、数字を見てその「程度」をしっかりを確認することは非常に重要です。
数字を確認することで、感覚に頼らずに数字を見て正確な判断ができるようになります。また、営業マンがもし投資家を騙そうとしている場合も数字はごまかせないため、営業マンの嘘も見抜くことができ、一石二鳥と言えるでしょう。
立地選定に限ったことではありませんが、数字を比較して全国的にはどの程度なのか、その都道府県の中ではどの程度なのか、隣の駅と比べてどうなのか等様々な観点で正確な判断をしていきましょう。
それでは実際に数字を見て判断するにはどうしたら良いのでしょうか。不動産の営業マンも全ての数字を提示して説明してくれるわけではありませんし、あえてデータ上の数字を見せずに投資家を騙そうとしてくるケースもあります。都合のいい数字だけ見せてくるというケースも想定したほうがいいでしょう。
ひと昔前では個人投資家は不動産に関するデータはそれほど知ることができませんでしたが、実は近年ではかなりのデータが誰でも見れる形で公開されています。この公開されているデータを活用していくことが有効になります。以下にいくつかご紹介します。
500mメッシュ別将来推計人口
こちらは国土交通省が人口の増減について地域別に分析しているデータになります。
例えば平成30年度の関東のデータは以下のようになります。
出典:国土交通省
このようにマップで表示されているので一目でエリアごとの人口の増減を見ることができます。投資対象物件のエリアを他のエリアを見比べて、どうなのかじっくりと精査ができるでしょう。また、都道府県別に全国のデータが年度別で見れるように公開されていますので、過去から今までの推移や全国単位での比較もしやすくなっています。
HOME’Sさんでは以下のような空室率のエリア別データをはじめとし、様々な賃貸需要に関連するデータを公開しています。
出典:HOME’S
都道府県ごとでも比較ができるようになっておりますが、更に市町村レベルでの比較もできるようになっており投資家の間では非常に重宝されているデータになります。また、市町村または区ごとのヒートマップも見れるようになっており、地域ごとの賃貸需要のレベルが一目で判断できるようになっています。
出典:HOME’S
立地適正化計画制度
立地適正化計画制度とは都市再生特別措置法が改正され、行政と住民や民間事業者が一体となったコンパクトなまちづくりを促進するための制度です。高齢者や子育て世代にとって、安心できる健康で快適な生活環境を実現すること、財政面及び経済面において持続可能な都市経営を可能とするを目的として、都市全体の構造を見直し、『コンパクト・プラス・ネットワーク』の考えで進めていく方針となっています。
この計画の中には居住誘導区域が指定されており、居住区として住みやすい街づくりを政府として進めていくため今後長く住み続ける人が増えたり、人口が増えていく可能性が高いと言えます。この区域に入っているか入っていないかも1つの判断材料になるでしょう。
理論的には良い物件が見つかったとしても、実際に足を運ばないと分からないことも多くあります。
実際に現地を見に行く時のチェックポイントは主に以下の3つです。
*今回は立地に関してのみでマンション自体のチェックポイントは記載しておりません。
1.街の雰囲気
初めての街を視察するときは昼間だけでなく夜も歩きましょう。昼間では気づかなくても夜歩くと街が暗いことに気づいたりします。
街灯が設置されているかは意外と昼間には気づきにくいものです。
街灯が設置されていなければ、街灯がない道を家路まで不安を感じながら帰宅しなければなりません。
住もうとする街に街灯がきっちり整備されていなければ「住みやすい街」とは言えないでしょう。
休日だけではなく平日も歩くことがベストです。休日は穏やかな街な印象を持ったとしても平日の朝にはまったく違った雰囲気の街に感じることもあります。
まず平日の特に通勤時間帯に、スピードを出しすぎている車はいないか、子供通学路は安全な道を選んでいるかを確認しましょう。
また近くに踏切がある場合、いわゆる「開かずの踏切」が原因となって朝の通勤時はかなりの渋滞を作っている可能性があります。
これは休日では気づきにくい点ですのでぜひ平日の朝、確認したいポイントです。
平日の通勤通学時間帯に運転マナー悪い車の往来が見受けられたり、朝の慢性的な渋滞などでストレスを感じさせるエリアは「住みやすい街」とは言えないでしょう。
その街にあるコンビニのゴミ箱の現況を確認してみましょう。
最近のコンビニなどで店の前にあるゴミ箱を店内に置く店舗があります。
その理由のひとつに挙げられているのが、「家庭内のゴミを持ち込んで捨てる人がいるから」です。
一部マナーを守らない、意識の低い方も住む地域である可能性が考えられます。
また、店外にゴミ箱があっても、あきらかに家庭内のゴミを持ち込んだ形跡(ゴミ箱から溢れている)などが見られる場合もあります。このような状況が見られるのであれば、「住みやすい街」とは言えないでしょう。
なぜなら住民が互いに無関心な可能性があるので、不審者がいても無視されている場合があるからです。
不審者に狙われやすい街かどうかはまず、コーポやアパートの共用部分を見てみましょう。
例えば集合ポスト周辺で投函されたチラシが散乱していたり、駐輪場に壊れた自転車が放置されたままであったりしないかチェックすることです。
自分が住む空間だけがキレイであればいいという考え方や他人に無関心である住民が多いと、こういった状況になりがちです。
このような住宅が見られるエリアは「住みやすい街」とは言えないでしょう。
3.災害の程度
ハザードマップは、災害が発生した場合にどのくらいの被害となるかを地図上に示した「災害危険予測地図」です。自治体で作成されており、誰でも見ることができます。サイトで公開している自治体も多くあります。
もちろん、自然災害は予測ができないものですが、大量の降雨が続いた場合や河川が氾濫した場合に被害を受ける可能性の程度は、地形によってある程度の予測ができます。その危険度を色分けして、地図上で示しています。
自治体によって異なりますが、「洪水ハザードマップ」「土砂災害ハザードマップ」などが多く作成されています。