今年、2020年の都道府県地価調査の結果では東京を始め日本全体として地価は下落傾向であることが分かりました。
一方で、世界の不動産投資市場の投資額は東京が初の世界1位となりました。昨年の2019年から東京の不動産に対する海外投資家の需要が高くなっていました。コロナ禍であるにも関わらず東京への不動産投資額は6%プラスとなりました。この要因について解説していきたいと思います。
参照:JIJI.COM
総合不動産サービス大手JLLが毎年不動産投資額などの分析結果を公表しており、今回をこちらのデータを参照させて頂きました。投資分析結果によると以下のようなことが分かりました。
2020年1~6月(上半期)の世界の商業用不動産投資額は、前年と比べ29%減となり、金額としては3,210億ドル減となりました。
2020年4~6月(第2四半期)の投資額は前年と比べ55%減となり、金額としては1,070億ドル減となりました。
全世界的に新型コロナウイルスによる先行き不安からくる投資控えがハッキリと数字に出た結果となりました。
地域別でみると、アメリカ大陸の2020年1~6月(上半期)の投資額は37%減となり、金額としては1,450億ドル減となりました。2020年4~6月(第2四半期)の投資額は前年と比べ72%減となり、金額としては360億ドル減となりました。
EMEA(Europe, the Middle East and Africa:ヨーロッパ、中東及びアフリカ)の2020年1~6月(上半期)の投資額は13%減となり、金額としては1,160億ドル減となりました。2020年4~6月(第2四半期)の投資額は前年と比べ35%減となり、金額としては450憶ドル減となりました。
アジア太平洋地域の2020年1~6月(上半期)の投資額は32%減となり、金額としては600憶ドル減となりました。2020年4~6月(第2四半期)の投資額は前年と比べ39%減となり、金額としては260億ドル減となりました。
世界中全体的に見て2020年1~6月(上半期)は不動産投資額が大きく下がった結果となりました。特に4~6月の下がり方は顕著であり、7~10月の結果が更に下がっているのか持ち直しているのか、どうなっているかは注目するべきでしょう。
そもそも海外への渡航が制限されている国が多く、海外の不動産投資は現地に行くことができないことから結果的に投資を控えることになってるケースがかなり増えていると思われます。世界的に投資額が減った3月中旬から6月初旬にかけては海外からの入国制限をする国が増えた時期と一致しており、海外からの不動産投資に関しては渡航制限がキーになりうると考えられます。
JLL(ニューヨーク証券取引所上場)は、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。JLLは、最先端テクノロジーを駆使して、お客様や人々、コミュニティーに対し、投資機会や環境に配慮した持続可能な不動産ソリューションを提供しています。2020年6月30日現在、世界80ヵ国で展開、従業員約93,000名を擁し、売上高は180億米ドルの超大手グローバル企業です。
弊社もJLLが分析し公開しているデータを参考に市場調査などをすることがあり、世界的な動向を把握する際にはチェックすることをお勧めします。国内だけではなく、海外投資家からの需要も把握しておくことで、長期的に価値が下がらない不動産を見つけやすくなります。
参照:JIJI.COM
2020年1~6月(上半期)の海外投資家による国内不動産への投資(インバウンド投資)は、前年と比べ50%減となり、金額としては2,010億円となりました。不動産投資額に占める割合は9%となりました。
海外投資家による日本の不動産への投資意欲は強いものの、国内プレイヤーの増加による物件取得競争の激化やJ-REITとスポンサー間のような関連会社間取引が増加し、海外投資家の投資機会は限定されていると言えます。近年では韓国の投資家が取得する事例が増加しており、品川区のオフィスビルであるカナルサイドビルや、千代田区の新築オフィスビルを韓国のファンドが取得している事例などがあります。
2020年1~6月(上半期)の地域別投資額割合をみると、東京都心5区の投資額割合は45%となり、2018年上半期の47%と同様に高い水準となりました。2020年のデータはまだ集計中で公開されていないため、引き続きJLLからの発表を注視する必要があります。
今年2020年に関しては変わるであろう数値が大きく2点あります。1つは国内全体の投資額が前年度水準の4.2兆円からどの程度変わるかという点です。2点目は地域別の投資額に変動があるかどうかという点です。地域別で変動があるのであれば今後の不動産としての価値の変動や物件取得の競争率に影響があると考えていいでしょう。
2020年上半期の不動産価格は商業地を中心に大幅な下落が見られましたが、世界中全体の投資額を見ると東京への不動産投資額は2位のニューヨーク(109億ドル)を大きく抜いて1位(150億ドル)となりました。
世界規模で見ると日本は新型コロナウイルスの影響が小さいほうであり、東京のマンションは海外投資家から高い人気を維持した状態となります。人口が多い国からの渡航制限が解除される時期には一時的に投資希望者が殺到する可能性もあります。その分物件取得の競争率も高くなるので購入時期には気をつけないといけません。