数年以内に高値で売り抜ける場合を除き、マンション経営は30~40年先を見据えて行うことが重要です。
しかし、30~40年後を予想することは時代の変化が激しい現代では非常に難しく、現実的ではありません。
10年先を予想して投資していくことが現実的であり、セオリーとされています。
今の現状と今後のトレンドを考え、10年後、
東京のワンルームマンション経営はどうなっているのか考えていきましょう。
1.東京の現状
2.東京の10年後の未来
上記の客観的データを読み取り、ワンルームマンション経営の未来を予測すると大きく3つのことが見えてきます。1つずつ詳しく見てきましょう。
■ワンルームマンション経営の10年後① 高齢者向けワンルームマンションの需要が大幅に増加する。
まず高齢者(65歳以上)の人口はこれから10年後以降も増え続けます。そして、全体的に持ち家率が低下していることを考えると必然的に高齢者向け賃貸の需要が高まることが分かります。
東京は高齢者人口の増加数が全国1位であり、年間約31万の勢いで高齢者が増えて続けています。
このように数字で見ると想像以上に高齢者向け賃貸の需要が高まっていくことが分かります。また、高齢者の中でも後期高齢者【75歳以上)の人口割合が年々増加していることも注目するべきでしょう。
この需要の増加数に対して、賃貸の供給が追い付いているとは到底言えません。
マンションは建設に数年は掛かるため、長期的な計画が必要となります。
高齢者向けにマンションを作る計画は現状ではほとんど聞きません。
また、高齢者向けだと新築のマンションよりかは家賃が多少安い中古のマンションのほうが需要が高いといえます。
中古のワンルームマンションの市場で、借り手のニーズが高まることにより、空室が減ってくると徐々に新築のワンルームマンションの需要も芋づる式に高まると予測されます。
具体的に何部屋分の需要が増加するか、数字で計算することは難しいのですが、これから増える需要に対して供給側が準備していないことは一目瞭然です。
10年後には高齢者向けのワンルームマンションが不足していることがニュースになっていることもあるかもしれません。
出典:総務省
https://www.soumu.go.jp/
■一軒家、ファミリータイプのマンションの空室が増加する。
全国的に一世帯あたりの人数が減少しており、単身世帯が増加しています。
これは今までの長期的な傾向であり、今後10年も続くと思われるため、単身世帯は増え続け、一軒家やファミリータイプのマンションは需要が徐々に落ち込むと予測されます。
需要が落ち込むと長期間、借り手が見つからず空き家となる一軒家やファミリータイプのマンションが出てくるでしょう。
一方、賃貸住宅の着工数は平成22(2010)年の29万1,840戸から平成25(2013)年の36万9,993戸と増加となっています。
住む人は減少しているのに住宅だけ増えている状態であり、この推移を見ると、何の対策もせずにこの先空室率が下がることは考えにくいと言えます。
平成30年時点で空き家率は13.6%と過去最高になっています。
出典:平成 30 年住宅・土地統計調査 結果の概要 総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/g_gaiyou.pdf
空き家の増加は今後も続くと思われるため、10年後には更に多くの空き家ができていると予測されます。
■外国人向け賃貸物件の需要が増加する。
政府は「特定技能」導入に先立ち18年12月、外国人の受け入れ・共生のための126項目の総合的対応策を策定しました。総合的対応策の主眼は生活支援ですが、外国人労働者が大都市圏に集中することを防ぐことも目標とされました。2019年6月には総合的対応策をさらに充実させ、地方に住む外国人向けの住宅紹介や家賃補助への財政支援などを盛り込まれました。
在留外国人は就労する外国人のほかに、その家族や留学生、日本人の配偶者も含まれます。そのため、入管庁は「在留外国人数だけを見て、外国人労働者が大都市に偏っているとは一概に言えない」と断りつつも「外国人は大都市で増加傾向にある」と説明しています。
このように入管庁の説明通り在留外国人は現在進行形で増加しており、10年後にはかなり増加していると予測されます。大まかな計算だと約100万人の在留外国人が増加する見込みとなります。
特に東京は全国と比較して、在留外国人が多く、外資系企業も集まっています。
在留外国人の多くが単身でかつ持ち家を持っておらず賃貸を利用していることを考えると、必然的にワンルームマンションの需要が高まると予測されます。
出典:法務省「平成30年末現在における在留外国人数について」
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00081.html
■10年後を見据えてどうワンルームマンションを経営していくべきか
さて、ここまでワンルームマンション経営が10年後にどうなるのか考察してきました。
ではどのように今から経営したら良いのかズバリお話します。
結論としては、高齢者向けもしくは在留外国人向けに特化した付加価値のあるワンルームマンションを経営することが理想的です。
しかし、マンション自体は自分で作ることができないので、投資家として工夫できることは内装や家具家電の設備面になります。
例えば高齢者向けであれば、一部の例ですが以下のような方法で特化していくことができます。
・できる限りバリアフリー構造にする、
・キッチンや洗面台の高さを低め、もしくは調整可能な仕様にする、
・落ち着いた色合いに統一する
・全体を直感的でわかりやすいデザインにする
もちろん通常のワンルームマンションと比べて費用が掛かるので、費用対効果は投資家として常に考えておかなければいけません。
掛けた費用に見合う集客効果や家賃の増額が見込めるのであれば、やるべきでしょう。
仮に大手デベロッパーが足並み揃えて高齢者向けマンションを0から作り始めるとかなりの競合になりますが、今のところそういった動きはありませんし、
高齢者に限定すると、リスクもありますので大手デベロッパーは参入しづらいと思われます。
個人の投資家としてできる範囲で工夫すれば、他のワンルームマンションと差別化ができブランディングにも役立つのではないかと考えます。