瑕疵担保責任という言葉はご存知でしょうか?
マンションを買うときにも売るときにも瑕疵については気をつけなくてはいけません。
売買契約が終わったあとに瑕疵があるとトラブルの原因になります。
そんな瑕疵について売り手と買い手両方の視点で解説させていただきます。
1.瑕疵(かし)とは
2.瑕疵(かし)担保責任の範囲
3.瑕疵(かし)を事前に見つける方法
家を購入する前に通常の注意を払っていても気づくことができない欠陥を瑕疵といいます。
具体的には、土壌汚染やシロアリなどがあり、事故物件も瑕疵と認められます。
例えば、コンクリートにヒビが入っている、給湯器が故障している等は注意していたら分かる範囲のため、瑕疵にはなりません。
売主には瑕疵担保責任というものがあり、買主が瑕疵に気づき、売主に請求すれば売主は補修費用を払わなくてはいけません。
ただし、中古物件の場合は売主が個人であることが多く、瑕疵担保責任がない「現況有姿売買」が行われることも多々あります。 現況有姿売買の場合は瑕疵が売買契約後に見つかったとしても、売主は責任を負いません、という契約となり、この場合は瑕疵が見つかっても買主が全責任を負います。 さらに、瑕疵担保責任がある場合でも売主に支払い能力がなければ、瑕疵担保責任もほとんど意味をなさなくなってしまいます。
そのため、特に個人から中古物件を買う場合は購入前に見つけることが重要になってきます。
マンション売却の際も瑕疵が後から見つかった場合は思わぬ大きなになりますので、瑕疵については理解しておく必要があります。
ポイントとしては、瑕疵を事前に全て見つけることは不可能に近いので、瑕疵があるかもしれないということを念頭においておくことが重要です。
特に築年数が30年以上になると瑕疵が発生しやすくなりますので、瑕疵があるという前提で、売り手としては資金に余裕を持たせておく必要があります。
もしくは、瑕疵担保責任がない現況有姿売買も選択肢として考えておきましょう。
もちろん、現況有姿売買の場合はその分、売却価格が低くなりますので、売値を妥協するかどうか、総合的に考えて判断しましょう。
2. 瑕疵(かし)担保責任の範囲
瑕疵担保責任の範囲は売主が法人、宅建業者、個人のいずれかによって変わります。
本コラムは個人向けのため、売主を個人と仮定して進めさせて頂きます。
期間
まず期間ですが、新築・中古問わず3ヶ月間が慣例となります。
この期間については契約時に契約書内に記載することが一般的なため期間の交渉ももちろん可能です。
短くすることもできますが、買い手としては長いほうがいいので、一ヶ月間など短くしようとすると当然嫌がられます。こだわりがなければ3ヶ月間で契約するといいでしょう。
範囲
範囲は様々なものがあり、以下4つの観点に分けると理解しやすいでしょう。
物理的瑕疵
物理的に破損、故障している部分を指します。土地も含まれます。主には雨漏れ、ひび割れ、シロアリ、土壌汚染、地盤沈下などがあります。生活を始めてから気づくことが多いので、購入後に住んでいないと気づかないこともあります。
法律的瑕疵
建築基準法など様々な法令に違反しているものを指します。こちらも多くのケースがあるのですが、具体的には、建ぺい率違反、耐震基準違反、土砂災害警戒区域内にある等があります。特に接道義務を満たしていない場合は再建築がでいない建物になりますので、資産価値が大きく下がります。後からどうにも解決できない瑕疵が多いのが法律的瑕疵の特徴です。
心理的瑕疵
過去に精神的に嫌悪感を抱くような出来事があった場合、心理的瑕疵となります。具体的には、よくあるのが心霊現象が頻繁に起きる、というのも心理的瑕疵となります。他には物件内での殺傷事件、自殺などが該当します。程度の問題もあり、判別が難しいケースもあり、もし心理的瑕疵で揉めた場合は簡単に解決しないケースも多くなります。
環境的瑕疵
周辺に嫌悪感を抱く建物や施設があったり、実際に汚臭が発生する原因がある場合は環境的瑕疵になります。飲食店やゴミ屋敷から汚臭が毎日漂ってくる、騒音問題を起こしている住人が近くに定住している、指定暴力団の事務所が近くにあり、地元では嫌われている等が環境的瑕疵になります。
3. 瑕疵(かし)を事前に見つける方法
せっかくマンションを買ったのに、瑕疵があったら嫌ですよね。売買契約が成立してお金も支払ったあとに買主に言うのは忍びない思いをして、瑕疵を言わずに自分で何とかする方もいるかと思います。
売主は瑕疵を実は知っていて、気づかないフリをして売ろうとする方も中にはいます。購入後に指摘されなかったらラッキーで指摘されたら、費用を払えばいいやぐらいに考えている方もいるのが事実です。
できる限り売買前に見つけて解決することが理想です。
しかし、「瑕疵とは」に書いた通り、注意していても気づくことができないので、非常に難しいのです。
そんな中でも少しでも見つけるための方法を解説しますのでご参考頂けると幸いです。
売主が物件の状況をよく知っていて、かつ誠実か
売主が物件を人に貸していて、物件にあまり行っていない場合、そもそも物件の状況についてあまり分かっていないこともあります。 この場合、瑕疵があっても売主も知らないケースが多いので注意が必要です。 また、誠実な人であれば知っている限り欠陥について事前に説明してくれますが、そうでない場合はキチンと説明してくれない人もいるので見極める必要があります。
築年数が古いか
築年数が古いと当然ながら瑕疵が発生しやすくなります。 家の特徴や周りの環境を見て、土壌汚染、地盤沈下、シロアリなどどういう問題が起きやすいかイメージしてみましょう。 イメージすることで、労力をさほど使わずにピンポイントに床下を調べたりするだけで見つかることも多くなります。 そういう調査が苦手な方は物件見学の際に、得意な人を連れて行くのも手です。
過去のどのようなメンテナンスをしてきたか
マンションの場合、物件の補修費として住人から費用を積み立てていることが多く、その費用で定期的にメンテナンスをしています。 例えば外壁塗装や配管のリニューアルです。 しっかり費用をかけてメンテナンスをしてきたかどうかで、瑕疵の発生確率も変わってきます。