マンション購入時、運営時の税金対策については他コラムで記載させて頂きました。今回は贈与、相続時の税金面についてお話させて頂きます。
また、法人を使った税金対策についても触れさせて頂きます。
贈与、相続についてはやり方によっては大きく税率が変わります。失敗しないように知識をつけておきましょう。
1.相続税について
2.贈与税について
3.法人を活用した相続について
4.まとめ
1. 相続税について
相続とは
そもそも、相続とは何か確認しましょう。相続とは家族の誰かが亡くなったときに、その方が持っていた財産を残っている家族に引き継ぐことを意味します。
相続財産の分け方
財産の分け方については3つの方法があり、遺言状、法律で決められた金額、家族内での話し合いとなります。遺言状がある場合はその内容にそって分配することもできますが、法律で定められた金額と乖離がある場合などは家族内での話し合いで修正することも可能です。
遺言状がない場合は法律で決められた金額に沿って、分ける場合が多いのですが、この場合も家族内の話し合いによって、分配比率を調整することが可能です。
ただし上記どちらの場合にでも話し合いがうまくまとまらない事も実際に多く、裁判にまで発展するケースもあります。そうなると財産を受け取るまで相当な年数がかかってしまうリスクもあるので、多少妥協してでもできる限り円満に話し合いを進めていくのがお勧めです。
マンションの相続税計算方法
マンションの相続に掛かる税金ですが、マンションの相続税評価額に対して、相続税率を掛けた金額になります。相続税評価額とは、簡単に言うとマンションの現在の価値という意味であり、購入した時の金額ではありません。
相続税率は以下の通りとなります。
参照:https://gentosha-go.com/articles/-/14824
例えば、相続税評価額が4000万円の場合、相続税は以下の計算で600万円となります。
4000万×20%-控除200万=600万円
相続税による節税効果
不動産を持つと相続税が節税できるとよく言われるのですが、その秘密は「相続税評価額」にあります。この相続税評価額が実際の相場よりも2,3割安く見積もられるためその分、相続税も安くなるということです。不動産を買えるだけの現金があれば、不動産にしておいたほうが残された家族に掛かる相続税は安くなるということになります。仮に現金5,000万円を相続するケースと比べると、不動産を相続する場合は約400万円前後の節税効果が発生します。
このような観点で考えると相続税評価額が低い物件のほうが節税効果が高いということになるのです。
相続税評価額の計算方法
では、相続税評価額の計算方法が気になってくるかと思います。
国税庁が財産評価基本通達という財産の相続税評価額を求めるためのルールを決めており、それによると以下の計算方法となります。
自己利用物件の場合:相続税評価額=固定資産税評価額
賃貸で貸している物件の場合:相続税評価額=固定資産税評価額×70%
このように賃貸として貸しているかどうかで30%も変わるのです。
固定資産税評価額の確認方法
それでは固定資産税評価額はどのように決まるのでしょうか?
こちらは各市町村の自治体の担当者が個別に決めており、3年に1度見直されます。
目安としては土地の時価の70%と言われていますが、立地、面積、建物の形状、築年数などにより判断されています。
そのため、具体的な計算方法がなく、新築の一軒家などを建てる場合は確認する方法がありません。マンションであれば、似たような条件のマンションと比較して確認することができます。
中古物件であれば毎年送られてくる納税通知書に金額が記載されていますので、そちらで確認することが可能です。
不動産市場における物件価値と連動している訳ではありません。相続を見据えて、固定資産税評価額が低いという点も購入の判断材料に入れるようにしましょう。
2. 贈与税について
贈与とは
そもそも、贈与とは何か確認しましょう。贈与とは無償で自分の財産を誰かに譲渡するという意味です。
贈与のメリット
基本的に贈与税は高額なため、お勧めしませんが以下のようなメリットもあります。
・任意のタイミングで贈与が可能
・家族以外にも贈与可能
贈与は相続と違い、基本的にはいつでも可能です。好きなタイミングで相手に贈ることができます。また、家族以外にも贈ることができるのも大きなメリットでしょう。
マンションの贈与税の計算方法
マンション贈与においても「相続税評価額」をベースに計算します。相続税評価額に贈与税率を掛けた金額になります。贈与税は20歳以上の者が直系尊属からの贈与を受けた場合とそれ以外の場合で変わってきます。直系存続からの贈与のほうが少しだけ税率が低くなっています。
■20歳以上の者が直系尊属からの贈与を受けた場合の贈与税
■上記以外の場合の贈与税
3. 法人を活用した相続について
次に少し特殊なケースとして、法人を活用した場合についてお話します。利益が年間1,000万円を超える場合は法人設立したほうが節税できますので、そのような場合を想定してお読みください。
マンションを個人の所有ではなく、法人の所有物としていた場合は、不動産自体の相続はありません。株式を持っている家族が亡くなった場合は、その株式を相続することになります。
株式の相続税計算方法
株式の相続に掛かる税金ですが、株式の評価額に対して、相続税率を掛けた金額になります。この時の相続税率はもちろんマンションをそのまま相続する時と同じ税率です。念のため再度税率を記載します。
参照:https://gentosha-go.com/articles/-/14824
法人を活用した相続のメリット・デメリット
法人を活用すると非常に複雑になるため、相続だけのために法人化することはお勧めしません。様々なケースが出てきますので、法人化をする場合は事前によく調べたり、税理士・司法書士に費用を掛けて相談することも重要です。法人を既に経営している方に話を聞くことができれば、より良いでしょう。
法人を活用した場合は株式の評価額によって、大きく税金が変わるのですが、不動産の価値というより会社の価値を元に株式の価値が決まります。非上場のオーナー会社のケースがほとんどになるかと思いますが、割高に株式の評価をされることが多く、税金もその分高くなります。
また、不動産は会社の所有になるため自由に売ることも難しいケースが出てきます。
逆にメリットとしては役員報酬や経費を使った節税対策ができるという点になります。非上場だと株式売却も難しいですが、購入希望者がいれば任意の金額で可能となります。