国家公務員が投資をする場合、どういうメリット・デメリットがあるのかまとめました。
弊社は不動産会社のため、不動産を主に事例として挙げて詳しく解説していきます。
そもそも副業禁止の公務員・会社員でも不動産投資ができる理由もできる限り網羅して記載させて頂きました。
デメリットについては投資に向いていない公務員の特徴と捉えることもできます。
これから取り組もうとしている方、もしくは他の投資と比較検討されている方は是非ご参考ください。
1.投資と資産形成について
1-1.投資と資産形成の定義
1-2.投資の種類
1-3.投資種類ごとの特徴
1-4.不動産投資と他投資との比較
2.副業禁止の公務員・会社でも不動産投資ができる理由
2-1.国家公務員は副業不可?
2-2.国家公務員が副業してはいけない理由
2-3.国家公務員が副業をする方法はないの?
2-4.不動産投資が副業に該当しないって本当?
2-5.副業解禁に向けての法律面の動き
2-6.国家公務員・副業禁止の会社員のリアルな副業事情とは
2-7.FXは副業になる?
3.副業禁止の国家公務員が不動産投資を始める時の申請方法
3-1.「副業」に該当する基準
3-2.申請方法
3-3.独立という選択肢
4.国家公務員が不動産投資をする場合のメリットまとめ
4-1.メリット1.投資計画が立てやすく、精神面にも負担が少ない
4-2.メリット2.住宅ローンが通りやすい
4-3.メリット3.手間が掛からないので本業と両立しやすい
4-4.メリット4.副業として認められやすい
5.国家公務員が不動産投資をする場合のデメリットまとめ
5-1.デメリット1.公務員の種類によっては転勤の影響を受けやすい
5-2.デメリット2.ストレスにより本業に悪影響の可能性がある
5-3.デメリット3.カモの対象として狙われやすい
5-4.デメリット4.情報漏洩によるリスクが大きい
6.国家公務員が不動産投資している時にリストラされるとどうなるか
6-1.国家公務員がリストラされることはあるのか。
6-2.実質的に解雇されるケースとは?
6-3.不動産投資をしている公務員がリストラされるとどうなるのか。
6-4.まとめ
7.不動産投資をする公務員~4名の実例集~
7-1.公務員の副業や投資について
7-2.不動産投資のメリットとデメリット
7-3.実例集その1~副業公務員ブログ~
7-4.実例集その2~地方公務員のブログ じゅんアパート経営~
7-5.実例集その3~トモブログ 現役国家公務員 FXトレーダーの副業クエスト~
7-6.実例集その4~K-style 宅建公務員大家~
7-7.まとめ
8.マンション経営で実現するセカンドライフ 公務員編
8-1.不動産投資をする公務員の割合
8-2.セカンドライフの過ごし方
8-3.マンション経営で貯まる貯金額
8-4.ゆとりあるセカンドライフの為に
8-5.まとめ
副業禁止の公務員・会社でも不動産投資ができる理由
1.投資と資産形成について
1-1.投資と資産形成の定義1-2.投資の種類
1-3.投資種類ごとの特徴
1-4.不動産投資と他投資との比較
まず投資とは、資産形成とは、という根本的なところからお話します。
このあたりが意外とキッチリ理解していない方もいるかと思います。定義が曖昧だとフワフワした内容になってしまうので改めて確認しましょう。
「投資」とは将来的に価値が大きくなりそうな「もの」に期待して、「お金」を提供する行為を指します。「もの」には不動産はもちろん、金融商品、事業、会社、人材など様々な種類・規模があります。「お金」はほとんどの場合は国が発行する通貨になるので日本人であれば日本円を意味します。仮想通貨などが今後もっと普及していけば、ビットコインで家を直接買う、といった事もできてくるかもしれないので、「お金」は時代によって変化し、国が発行する通貨に限りません。
そして大事な点ですが、投資対象が将来的に価値が下がることもあるということです。株の場合はわかりやすいですが、上がることもあれば下がることもあります。
投資とは将来的に価値が大きくなりそうなものに期待してお金を提供することを指しますが、投資対象の価値が下がり損することもあります。
資産形成とはその言葉どおり資産を増やしていく行為です。「資産」は現金はもちろん、不動産、株、債権、設備などを指します。売って現金に変えられるものと考えればわかりやすいかと思います。
よく資産のポートフォリオを持ちましょう、と言われることがあります。それは日本円だけでなく不動産、金、海外株式など多様な資産を持つと例えば不動産の価値が急落しても他の資産があるのでリスクを抑えられるからです。
ただし、資産形成を始める初期段階では自分のリソース、資産が限られるため分散した資産を持つことは難しくなります。最初は無理にポートフォリオを考える必要はなく、1種類の資産形成に集中したほうがいいでしょう。
投資の種類としては主にこちらの7つとなります。
・不動産
・株式
・FX
・金
・投資信託
・債権
・仮想通貨
画像参照:https://www.30investor.com/investment/134/
これら以外にも先物や事業投資など様々な投資があります。例えば先物では大豆や小麦、ブロッコリーなど身近な農産物も投資対象にすることができます。ただし今回はマンション投資(不動産)と他投資との比較が目的のため、これら7つ以外のマイナーな投資については省略します。
それぞれの投資商品が投資家目線でどういう特徴があるのかを解説していきます。それぞれの特徴を理解しておくことで、株式投資で出た利益で不動産投資をする、など一歩先を見据えた戦略を立てやすくなります。
1-3ー1. 不動産の特徴
・不動産
次項で詳しく説明するため省略きます。
1-3ー2. 株式投資の特徴
最大の特徴は株の種類が非常に多いこと、資産がマイナスになる可能性があることです。企業ごとに株式を発行しており、世界中の企業が対象となります。
1企業の将来性を判断するだけでも事業内容や決算書の分析などある程度労力が掛かるのですが、それが無数にあり比較して投資判断をすることは困難なため限られた情報の中で判断する力も必要になってきます。
信用取引(レバレッジ)といって元手の資金以上に売買することもできますが、大きく負けた場合は元手以上に損をすることもあり、不足した金額分を後から補充しないといけない可能性もあります。これにより急に借金を背負う人もいます。
短期トレードから長期トレードまで様々な手法、無数の種類の株があることにより幅が広く奥の深い投資です。
以下のグラフのご覧頂けると日本人と海外の違いが分かりますが、株式投資は資産のうちの約10%ほどと日本人はあまり株式投資をしていないことが分かります。
出展:日銀統計資料 https://www.jip.co.jp/report/detail.php?report=00255
以前話題になった年金2000万円問題でも分かったように、政府は国民に対して将来に備えてもっと投資をするべきと考えています。
国民が投資しやすい環境を作るために1998年の改正外為法を皮切りに金融システム改革法、確定拠出年金法、税制改正、改正証券取引法、金融商品取引法、改正確定拠出年金法など様々な法改正、制度の導入を行ってきています。
それでも国民が積極的に投資する状況にはならず、海外と比べると株式投資をする人は割合としては少ない状況です。
この状況が変わり、株式投資をする人が増えるようになると今までの反動で一気に投資人口が増える可能性があり、それに合わせて株価も上がっていく可能性もあります。
1-3ー3. FXの特徴
外国為替取引のことをFXといいます。
世界中の通貨の売買のため株のように種類は多くなく、かなりマイナーな通貨も含めると100種類以上となりますが主要な通貨ペアは10種類ほどになります。
最も取引量の多い通貨ペアはユーロ対ドルですが、日本人はドルと円の通貨ペアに馴染みがあるのでドル円を取引する方が多い傾向にあります。FXは株以上にレバレッジを掛けることができ、海外のFX口座を利用すると元手の400倍もの金額で売買することができます。
その分、損得も大きくなり一瞬で資金を全てなくす方もいますが、株と違い資金がマイナスになることはほとんどありません。
分かりやすさと手軽さから20代の若い世代もFXをする方が多いです。
国際情勢により通貨の価格が大きく上下するので予想が難しく一般投資家の90%は累計取引で損失を出しているという事実があります。
以下の表とグラフを見ると分かるように口座開設数コンスタントに増えています。
各社とも順調に口座開設数を伸ばしていることが分かります。
ただ、気を付けないといけないのはもう辞めてしまっていて、口座を放置している人の分も含まれているということです。
次に業界全体の業績を見ていきましょう。
参照:金融先物取引業協会 https://www.fsa.go.jp/news/29/singi/20180312-1/01.pdf
口座数の増加の割に業績はさほど業績は伸びていないことが分かります。また、FX取扱業者も少なくなっており、利益を出せていない会社は淘汰されてきました。
あまり伸びていない原因は2010年のレバレッジ規制で、国内のFX取引は最大レバレッジ25倍までの制限がかかったからです。
海外のFX取引ではレバレッジ規制がないところも多く、海外口座で取引する日本人が2010年以降増えています。
利益を安定して出せれば年収1000~1億にまでなれるという魅力はありますが、一般投資家の90%は累計取引で損失を出しているという事実をまずしっかりと捉えてから始めるようにしましょう。
1-3ー4. 金の特徴
一番歴史の長い金融商品です。
現物の金を買って保管する方法と現物は手に入れずに電子データとして売買をする方法があります。世界中から普遍的な価値があり安全資産として認識されているため、価値が0になる可能性は極めて低いと言えます。
FXと同じで国際情勢により価格が変動するため、価格予想は難しいです。
傾向としては貿易摩擦や紛争リスクなどが起き、市場がリスクオフの流れになると、価格が高騰しやすくなります。
また、IMFが米ドルの次の基軸通貨として金に紐づいた通貨を計画しているということもあり、それが実現する場合は価格がかなり高騰すると予想されます。
資産ポートフォリオの1つとして持っておくとリスク分散に役立つでしょう。
参照:Let’s gold https://lets-gold.net/chart_gallery/chart_gold_mine_production.php
埋蔵量はオーストラリア、ロシア、南アフリカの合計で世界の約40%を占めますが、今のペースで採掘を続けるとあと約20年で取りつくしてしまう計算になり、長い目で見ると金の価値がさらに高くなっていくと予想されます。
1-3ー5. 投資信託の特徴
投資を業としている会社に資産を預けて資産運用を代行してもらうことを投資信託といいます。
資産運用の成績に応じて定期的にリターンがもらえる投資信託が多いですが、もちろん投資に失敗して資産がなくなる可能性もあります。
運用代行費としてマージンは取られますのでその分帰ってくるリターンは少なくなります。
資産を預けた会社が倒産することも稀にあるのでリスクの1つとして捉えておきましょう。
自分で手間を掛けたくない方にお勧めの投資方法です。
参照:野村資本市場研究所 https://www.nicmr.com/nicmr/data/market/trust.pdf
ネット上で簡単に口座を開設できるようになったこともあり、2013年から投資信託の純資産額は堅調に伸びていっています。
参照:野村資本市場研究所 https://www.nicmr.com/nicmr/data/market/trust.pdf
国内の投資信託も伸びていますが、実はアメリカではもっと伸びています。理由としては元々株式投資をする個人投資家が多い(日本の約3倍)からです。
1-3ー6. 国債の特徴
主に国債と社債の2つありますが社債はマイナーな投資のため割愛します。
国債は3年、5年、10年の3種類あり、例えば10年国債であれば半年に一度利子がもらえ、ちょうど10年後に購入金額が返ってきます。
国が破産(デフォルト)しない限りは確実にお金が戻ってくる+利子が半年に一度もらえるのでその分が利益になります。
気をつけないといけない点はインフレ率によっては実質的な利益が変動する点です。
仮に10年後の物価が2倍になった場合は実質的な資産価値は減ったと言えます。近年、米国債の逆イールドが発生することがたまにあり、リセッション(景気後退)の前兆だと言われているので、1,2年後の2020年末~2021年は注意が必要です。
米国債の逆イールドについては別途コラムにて解説しておりますのでご参考ください。
1-3ー7. 仮想通貨の特徴
近年一番注目を集めている投資です。本来投資のために作られたものではありませんが、急激な価値変動により大きな利益を得る人が続出し、投資商品として注目されました。
これら7つの投資の中では最も詐欺に合う確率が高く、異常なほどと言えます。
金融機関に預けていた仮想通貨が盗まれる、インサイダー取引の横行、運用代行すると言ってお金を集め逃亡する人など多数の詐欺が報告されています。
仮想通貨の種類は現時点で数百を越え、これからも増え続けると予想されています。
税率も50%と他の投資と比べて異常に高く玄人向けの投資方法と言えます。
損失を出しても特に補填はされませんが、利益を出した時だけ半分は税金で取られると考えると利益を残していくことはかなり難しいと思われます。
不動産には土地、物件の2種類ありますが、土地は流動性が低いので省きます。
また、不動産の中でも今回は流通量が多いマンションに限定して考えます。
一番の特徴は住宅ローンを組むことにより、元手がほぼ0でも数千万円の投資を始めることができる点です。
毎月住宅ローンの返済をしつつ、家賃収入を得ることができ、そのバランスが重要になります。住宅ローン完済後はマンションがそのまま自分の資産になるので生涯を見据えた投資としては考える方が多い印象です。
住宅ローン完済前でも売却することはできますが、買主の募集や契約書の取り交わしなど手間と日数が掛かります。こういった運用面は管理会社に任せる方がほとんどです。
他の投資方法は最初の資金量が多いほど有利に資産を増やしやすいですが、マンション投資の場合は初期の資金がなくても始めることができるという違いがあります。
株やFXのように好きなときに好きなものを選んで投資をすることはできず、売りに出されているマンションはその都度変わっていくので運の要素もあると言えます。
物件価格に応じた住宅ローンの審査に通過して初めて投資を始めることができるので、始める前の労力は最も掛かりますが、資産0からの資産形成という意味では総合的にみて最も適しているでしょう。
逆に他の投資は証券会社に口座を開設して入金するだけで始めれるものばかりなのでいつでもできますが、マンション投資は住宅ローンのことを考えると20~30代の内に始めておくのがいいでしょう。
2.副業禁止の公務員・会社でも不動産投資ができる理由
2-1.国家公務員は副業不可?
2-2.国家公務員が副業してはいけない理由
2-3.国家公務員が副業をする方法はないの?
2-4.不動産投資が副業に該当しないって本当?
2-5.副業解禁に向けての法律面の動き
2-6.国家公務員・副業禁止の会社員のリアルな副業事情とは
2-7.FXは副業になる?
大原則として、公務員は副業で報酬を得たりお金を得るような行為は禁止されています。
同様に、会社員でも副業禁止規定のある会社に勤めている場合は副業の報酬を得ることは禁止されます。
しかし、副業禁止の会社員や公務員でも実際に不動産投資に取り組んでいる方は多くいます。
これは単純にルール違反をしているのではなく、きちんと許可を取るか、許可が不要な範囲内で副業をされているケースがほとんどです。
このルールを理解せずに無意識にルール違反をしている方もチラホラ見かけますが。。
ここでは副業禁止の公務員や会社員でも、不動産投資で報酬を得ることができる理由についてご紹介していきます。
改めて言うと基本的には公務員は副業することができません。これは法的にもきちんと定められている内容で、例えば国家公務員の場合は国家公務員法という法律によって副業の禁止が定められています。
以下の地方公務員法第38条に記載されております。
参照:https://roppou.aichi-u.ac.jp/joubun/s25-261.htm
地方公務員の場合は準ずるべき法律が国家公務員法とはなりませんが、所属ごとの様々な副業規定などによって国家公務員とほぼ同様の基準で副業が禁止されています。
また、副業禁止規定のある会社に勤めている会社員の方も、原則的に副業でお金を得ることはできないようになっています。会社に言わないで副業でお金を得ているケースもありますがこの場合、税金や源泉徴収の関係で会社に副業していることがばれてしまう可能性もあります。
つまり、原則的に公務員・副業禁止規定のある会社員は副収入を得ることが禁じられているというわけです。
これだけ聞くと絶望するかもしれませんが、諦めるのはまだ早計です。
副業の方法がないということではありません。
その方法については「3.公務員が副業をする方法はないの?」にて詳しくお話していきます。
ちなみに規則を破った場合、公務員は原則的には懲戒処分になります。
懲戒処分は非違行為の重さによって主に以下の4種類に分けられます。
副業がばれた時にどの懲戒処分になるかですが、特殊なケースを除き、3か月の停職もしくは減給が比較的多くなっております。特殊なケースというのはその副業自体が犯罪の温床となりうるものだったり、公務員の業務中に居眠りが起きていたり公務員としての信頼を損なっていた場合などが該当します。そのような場合はより重い懲戒処分となり、免職(クビ)になった事例もあります。
公務員の懲戒処分の状況は実は以下の図のように総務省から毎年公開されています。
平成29年度における地方公務員の懲戒処分等の状況(平成29年4月1日~平成30年3月31日)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000608362.pdf
この内訳の中で副業違反に該当するものは「一般服務違反等関係(1627人)」に含まれますが、一般服務違反等関係は様々な違反が含まれますので副業がばれた人数までは公開されていません。
感覚的には少ないとはいえ、1割は該当するとすれば160人以上が毎年副業がばれて懲戒処分を受けていると推測されます。
まずはこのような厳しい現実を書かせて頂きましたが、勘違いして副業OKと思い、思わぬ懲戒処分を受けてしまう人を減らすためでもあります。
原則禁止ということはお分かり頂けたかと思います。
それではどうすれば副業ができるのか、お急ぎの方は「3.公務員が副業をする方法はないの?」に移動して頂いて大丈夫です。
その前にまずは何故公務員は副業が禁止されるのか、理由をみていきましょう。
公務員が副業などでお金を得ることが禁止されているのには、もちろんきちんとした理由があります。
大きな観点から見ると国と国民の利益を守るために禁止されています。
例えば、公務員が自分の会社を経営していたりすると、自分の会社が有利になるように仕事上の便宜を図ったりする可能性が多いにあります。
副業など他の仕事に従事することによって、疲労を起こしてしまう可能性もあります。
そうなるとそもそも取り組むべき本業に精神や肉体を集中させることができず、パフォーマンスが低下してしまう恐れがあります。
また、犯罪の温床となるようなビジネスを副業としていて、それが公務員が関わっていたとして社会問題にでもなると、公務員の信頼を損ねてしまうことになります。公務員の信頼が損なわれるということは国としての信頼も低下することに直結します。
国民から税金を徴収し、それを元に国家の運営をしているので、信頼を損ねるということは歴史を振り返ると最終的には国家転覆に最悪の場合は繋がるということになります。
単純に、国を信頼して税金を納めているのに、その税金で生活をしている公務員が裏で悪いことをしていると知ったら国民からの信頼はなくなってしまうということになります。
そのため公務員は私利私欲は優先せずにフェアな立場でなければいけず、そのためフェアな立場を崩す可能性がある副業が禁止されているということです。
法律的には1章で述べた「地方公務員法第38条」以外に国家公務員法では以下2つのことが定められています。
参照:国家公務員法
https://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail_main?re=&vm=1&id=2216
これらの法律から、原則的に公務員は副業をすることが禁じられているというわけです。
そして世間的に守秘義務が求められる、公務員という仕事においては、副業に取り組んでいる際に何かの拍子で、本業で知り得た機密情報を漏洩させてしまう可能性があります。
また公務員という立場で知り得た情報を悪用して副業に勤しむというケースも、公平性の観点からあってはならないこととなっています。
この部分も、公務員は副業してはいけないという決まりの根拠となっています。
副業禁止規定のある会社員の方も、ほとんどこれと同じような理由で副業が禁止されています。平たく解説すると、副業にリソースを割くことで本業のパフォーマンスに影響が出ることがあってはならない、ということと、守秘義務が守られなくなる可能性があるので副業を許可するわけにはいかない、というのが主だった理由となります。
例えば日銀が国債を購入するタイミングで株価が上がるのを見越して、日銀に関わる公務員自身が事前に株を買っておくような、インサイダー的な取引をされては国民の不利益になるからです。
もしそういった行為がバレルと解職はもちろん、罰金もしくは禁固刑などの実刑となるので、日銀でそういった事例は今までにありません。
ちなみにインサイダー取引は具体的には以下の罰則になります。
参照:https://www.hs-sec.co.jp/bluesky_net/rule/all/insider.htm
インサイダー情報を入手しやすい立場にある公務員はチェックされがちなので、しないことが前提ですが、まず基本的にはバレると考えていいでしょう。
実際に年間で30~40件ほどのインサイダー取引が摘発されています。
参照:証券取引等監視委員会 https://www.fsa.go.jp/sesc/actions/torichou.htm
それでは公務員・副業禁止規定のある会社員が副業をすることはできないのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。ここまで懲戒処分や法律面を重点的に解説し、驚かせてしまった場合は申し訳ないのですが、弊社としては副業できるのであればするべきだと考えております。
実は公務員でも会社から副業を禁止されている会社員でも、副業に取り組むことができるケースがあります。
一部例外として、神戸市や生駒市ではガイドラインさえ守れば副業自体が禁止されていません。
ここでは主に、国家公務員が副業をする方法について解説していきます。
結論から言うと、不動産投資業・不動産賃貸業と呼ばれるような業種や、もしくは農業の一部などに関する仕事であれば、ある程度の規模の範囲内で例外的に副業に取り組むことが認められています。
また、先ほど記載したような、インサイダー的な取引をしてはいけないという制限はありますが、株・FX(為替取引)・仮想通貨などの投資も可能です。
これは公務員の副業禁止の原則に反することなのではないか?と思う方もいらっしゃることでしょう。しかしよくよく考えてみると、公務員の場合でもやむを得ず副業に取り組まなければならないケースもあるのではないでしょうか?
例えば、相続などの関係でいきなり膨大な農地を受け継いでしまった場合や、アパートの大家をしていた親類が亡くなり、その遺産相続の一環として不動産/不動産賃貸業そのものを相続してしまったというケースもあるでしょう。
このようなケースにおいて、全て一律して副業を禁止してしまうと、これはこれでまた問題が出てくるというわけです。
この辺りの事をきちんと国の方でも考慮しており、こういった事情のあるケースについては例外的に副業を認めるケースもあります。
実際に公務員の内、副業をしている人はどれくらいいるのか、弊社で調べてみましたがそもそも副業している事を隠している公務員が多く正確なデータは取れませんでしたが、一般会社員は1割(約600万人)ほどが副業している統計が取れており、それ以下であることは確実です。
不動産投資は副業に該当しない、というのは半分本当で、半分は誤った情報となります。
というのも公務員の場合ですが、不動産投資はある程度の規模までであれば副業に該当しない・あるいは例外的に認めるといった判断になることがほとんどです。
その判断基準は年間の賃料が、500万円以下の収入であること。
つまり不動産賃貸業で年間500万円以上を儲けがあるとこれは副業に該当してしまいますが、500万円以下の収入であれば副業を例外的に認めてもらうことができるというわけです。
また、その不動産賃貸業や不動産投資の規模についても、管理している物件数が10棟未満・5室未満であることが求められます。
これ以上の規模になってしまうと、国家公務員の場合は人事院に対して事情を説明し、その許可を得る必要があります。要するに個別の許可などが必要になるということです。
反対に言ってしまえば、これ以下の規模であれば何らの制限を受けることもなく不動産投資を行うことができるというわけです。
順当に投資をしてこの規模を超える場合は既にかなり成功している状態なので、公務員を辞めてしまっても収入としては問題がないと言えるでしょう。
例えば家賃10万円のワンルーム4室運営しても年間で480万円の売上で、条件の中に収まります。
これを超える規模になろうとした時に、仕事を辞めて不動産など自営業もしくは法人化にすることを検討するのがスマートではないでしょうか。
不動産投資をする場合に1つ重要なことがあります。
それは管理業務を委託することです。不動産の運営は本当に多岐にわたる業務があります。
平日日中は一切の対応ができない公務員にはまず不可能と言えます。
参照:https://theredocs.com/knowledge/property_management
例えば、区役所の職員が不動産でトラブルが起きたからと言って、平日職場を抜け出し現場に行ったりしたら、区役所にとんでもなくクレームになってしまいます。
その点を考えると管理は委託する以外に選択肢はほぼないと言えます。弊社もその一つですが最近では管理業務も一括で依頼できる不動産販売業者も多いので、お気軽にご相談ください。
そもそも副業禁止はおかしいんじゃないかという声が大きくなり、政府自身が2018年から推進している働き方改革(働き方改革関連法は2019年4月に施行済み)もあり、副業禁止についても政府自身により見直されています。
昨年、閣議決定された未来投資戦略2018では
「国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備を進める。」
という文言が明記されました。
参照:未来投資戦略2018
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2018_zentai.pdf
要約すると、公益的活動等を行うための兼業に関しては副業を認める方向で進める、ということになります。
公益的活動等という部分が非常に重要になりますが、言い換えるとボランティア、もしくは福祉サービスということになります。
どこまでが福祉サービスに該当するかは新しく法律が制定もしくは改定されてから決まっていくと思われます。
このように法律面では解禁に向けて動きがありますが、神戸市や生駒市のように法律の制定に先んじて一部副業の解禁を始めた自治体もあります。
働き方改革関連法が施工されたこともあり、一部副業の解禁を始める自治体は増加していく傾向にあると予想されます。
公務員または副業禁止の会社員が行っている、リアルな副業事情についてもご紹介していきます。
まず公務員の中で多いのは、副業としての賃貸や不動産投資という部分があげられます。これはやはり、先ほどご紹介したような例外規定があることにより大手を振って副業に勤しむことができるというポイントが支持されている大きな理由の一つです。
また、こういった規定があることについては代々先輩職員から後輩職員へ連綿と受け継がれるような性質もあり、こういった事情も手伝って公務員には不動産投資が人気です。
副業禁止の会社員は投資よりも、もう少し規模の小さいスモールビジネスに勤しむケースが見られます。
というのも副業禁止規定のある会社員の場合、税制上問題のない範囲であれば副業しても源泉徴収の関係で会社にばれるということが少ないため、ローリスク・ローリターンという形で副業に勤しむことがあります。
もちろん不動産投資に勤しんでいる副業禁止の会社員もいますが、それよりも自分のスキルをスキルマーケットで売ったり、副業のために週末ライターなどをするというケースもあるでしょう。
一定額までの収益であれば税制上の申告が不要なケースもあり、このあたりも副業禁止の会社員がローリスク・ローリターンな副業に手を出す理由と言えるでしょう。
もちろん国家公務員と同様の基準で不動産投資などについて副業を例外的に認めている企業もゼロではありません。このような場合には大手を振って、公務員同様に副業禁止の会社員も不動産投資に勤しむことがあります。
様々な副業がありますが、個人投資家は平均すると不動産でしか利益を出せていない統計がでている点も注目です。
公務員や、副業することができない会社員の中には、FXで収益を上げているという人も一定数存在します。
しかしこれは、副業規定を犯していることにならないのでしょうか?実際に会社の先輩に、FXで出た収益で食事をご馳走してもらったというケースもあるのではないでしょうか。
これは、原則的に副業にはあたりません。例えばFXは自分の資産を運用しているだけに過ぎず、もちろんハイリスク・ハイリターンなことではありますが副業として報酬を得ているという性質ではないためセーフ、というケースがほとんどです。
ただしアウトな事例も存在します。
公務員としての職務中・あるいは会社員としての勤務時間中にFXの相場をチェックしたり、売り注文や買い注文などを出すなどの行為は職務中に行うべきことではないため、懲戒処分の理由になることも考えられます。場合によっては、携帯電話やスマートフォンからFXの相場をチェックしたりすることもできるためついついやってしまいがちです。
しかし特に公務員の場合は一般市民から「勤務中にFXの相場を見ている公務員がいる」と通報されてしまうこともあり、ここが元となって懲戒処分などの重大な事態を引き起こすことも考えられますので注意が必要です。
公務員は国民の税収で生活をしている訳なので、目を付けられやすく、チクられやすいという訳です。しかし、本業の業務中に副業をしてはいけないという点は会社員でも同じなので、自制心をもってコントロールできるのであれば問題ないでしょう。
ただし、FXは個人投資家の参加者全体でみると9割の方が損失を出しているので、その1割に入ることができる自信と知識がないと副業としてはお勧めできません。
知識・経験がないと確実に損失を出すので、FXはギャンブルと揶揄されることも多々あります。
以下データもご参照ください。
参照1:https://yuttari-fx.com/archives/41361037.html
参照2:https://jp.forexmagnates.com/2014/10/14/regulation/17882
3.副業禁止の国家公務員が不動産投資を始める時の申請方法
以下の記事で記載しておりますが、
「年間の賃料が500万円未満、かつ管理している物件数が10棟未満・5室未満である場合」
が公務員として禁止されている副業には該当しません。
年間の賃料が500万円以上、もしくは管理している物件数が10棟以上もしくは5室以上になる場合は副業と判断されます。
公務員が不動産投資をする場合のメリット・デメリット
https://frontier-investment.jp/komuin-fudosan-meritto-demeritto/
禁止されている副業に該当する場合は後ほど説明しますが、
事前に「申請」をして「承認」を得る必要があります。
この副業として判断するかどうかの基準ですが「人事院規則14-8」の「第1項関係」に明記されています。
https://www.jinji.go.jp/kisoku/tsuuchi/14_fukumu/1403000_S31shokushoku599.html
気をつけないといけないことは、「人事院規則14-8」は国家公務員向けに定められたものであり、地方公務員には適用されないということです。
では、副業となる基準も違うのかという点ですが、基本的には地方公務員も「人事院規則14-8」に準じて同じ基準で定められていることが多いです。
もちろん所属によっては、独自の基準を定めていることもありますので、地方公務員の場合は所属の人事もしくは総務担当に確認したほうがいいでしょう。
人事院という言葉はあまり聞きなれないですが、国家公務員法に基づき、人事行政に関する公正の確保及び国家公務員の利益の保護等に関する事務をつかさどる中立・第三者機関です。
この説明でも分かりにくいかと思いますので、詳しく知りたい方は図説をしてある以下公式サイトをご覧頂けると幸いです。
https://www.jinji.go.jp/syoukai/
ちなみに「人事院規則14-8」は昭和31年8月23日に定められた法令ですが、時代の変化に合わせて随時改正されており、2020年2月17日現在では、最終改正日が2019年7月1日になっており、まだまだ現役で生きている法令です。
不動産以外のことも記載されており、文章量も長くないので是非一度読んでみることをお勧めします。
再度確認ですが、
「年間の賃料が500万円未満、かつ管理している物件数が10棟未満・5室未満である場合」
は申請不要のため、ここから先を読む必要はありません。
上記基準を超えていて、通常であれば規則により禁止されている副業をしたい場合は事前に申請をして承認をもらう必要があります。
申請をするには、以下の条件が揃っている必要があります。
①公務員としての職務内容と利害関係となりうる可能性がない。
②公務員としての職務に支障が出ない。
③公務員としての公正性や信頼性が損なわれない
1つずつ解説します。
①公務員としての職務内容と利害関係となりうる可能性がない。
万が一、職務内容と利害関係が発生する副業の場合は個人の思惑により職務に影響が出る可能性があります。
公務員としてはやはり、副業が職務に影響を与えるというのは避けなければいけません。
具体例を1つ挙げます。
税務調査関係の公務員の方が、企業の節税方法のコンサルティングの副業をしていると仮定しましょう。
そうすると税務調査の実際の方法を元に、企業に有利な節税コンサルティングをしてしまう、など考えられるのではないでしょうか。
また、自分がコンサルした会社が税務調査の対象になったときに公正に対応できるでしょうか?
このように副業が職務内容と利害関係となりうる場合は申請しても承認はもらえません。
②公務員としての職務に支障が出ない。
これは様々なケースがありますが、簡単な例で言うと、副業で起きた精神的・肉体的疲労により公務員の職務に悪影響が出ると懸念される場合は申請できないということです。
体力を多く使う副業で、腰痛などにより職務に悪影響がでる、精神的に疲れる副業で職務に悪影響がでる等様々なケースがあります。
結果として職務に悪影響が出ると懸念される場合は申請できないということになります。
③公務員としての公正性や信頼性が損なわれない
こちらですが、公務員としては公正性や信頼性が非常に重視されますので、副業でそれを落とすような可能性がある場合には、やはり副業の申請はできません。
こちらの様々なケースがありますが、1つ具体例を挙げると、パチンコ関係の副業です。
パチンコは違法賭博かどうかという点で、常々議論されています。そのような法律的にグレーなもので副業として収益をあげるということは望ましくないということでしょう。
公正性や信頼性を損なう可能性があるものは避けなければいけません。
こちら①~③の条件が揃っていれば申請はできます。
まず人事院が公開している「自営兼業承認申請書(不動産等賃貸関係)」をダウンロードして記入したら、所属長に渡しましょう。
渡したら、他に何の書類が必要か指示されますのでそれに沿って書類を準備して提出します。
一般的には以下書類のコピーが求められるので準備しておくといいでしょう。
物件管理委託契約書(自分と不動産管理会社との契約)
賃貸借契約書(自分と賃借人との契約)
書類を元に判断されるので、補足的な資料も提出可能であれば提出しましょう。
判断材料は多いに越したことはありません。
全ての書類を提出したら省庁もしくは役所から承認されるかどうかの結果を待ちます。
①~③の条件をクリアしていても規模や内容により承認されないことも多々あります。
そもそも禁止されている副業を簡単には認めないということでしょう。
それでも相続等のやむを得ない事情などがある場合は承認されやすくなります。
公務員は一人一人の裁量が大きい場合も多いので、その担当者次第、ということもあり承認されるか微妙なラインだと「運」の要素も絡んでくるでしょう。
最終的には結果を受け入れるしかありません。
副業として判断される基準を超えるということはそれだけ、片手間でも収益になっているということです。
思い切って公務員を辞めて独立ということも視野に入れてもいいでしょう。
公務員の仕事を少しずつ減らせれば理想的ですが、そういったことはできないので、
続けるか辞めるかの2択しかありません。
正直なところ年間500万円の家賃収入を頼りに、公務員を辞めて不動産専業というのは少し不安が残ります。
最低1,000万以上の貯蓄をし、公務員を辞めた後のアテがすぐにあるのであれば独立も現実的になるでしょう。
やはり安定収入や住宅ローンの強みがなくなるのは、想像以上に大きいものです。
普段受けている恩恵はなくなった時にこそ分かります。
それを捨てて、独立する場合は大きなリスクを伴いますので、公務員時代の2倍以上の年収は稼がないと割りにあっているとは言えません。
完全に不動産一本にしなくても、週3,4で別の仕事をしながら不動産投資をするのもいいでしょう。
資産形成のポートフォリオを同じ考え方で、仕事の種類も2,3あったほうが安定化します。ただし、仕事に関してはある程度の資産が形成できれば不動産投資家一本でも問題はありません。
さらにリスクを取って、不動産以外に株、為替など投資の額を増やして大きなリターンを狙う方もいます。
独立は考えずに公務員を続ける方のほうが圧倒的に多いですが、総合的に考えて、独立という選択肢も持っておいたほうが人生の幅は広がります。
公務員の仕事がキツく感じた時などは思い出してみてはいかがでしょうか。
4.国家公務員が不動産投資をする場合のメリットまとめ
4-1.メリット1.投資計画が立てやすく、精神面にも負担が少ない
4-2.メリット2.住宅ローンが通りやすい
4-3.メリット3.手間が掛からないので本業と両立しやすい
4-4.メリット4.副業として認められやすい
そもそも公務員かどうかに関係のない不動産投資のメリットに関する話は本章では省略しております。
生命保険の代わりになる団信や私的年金の形成の話については別記事がありますのでこちらも是非ご覧頂けると幸いです。
貯金せずに不動産投資で私的年金を作る方法
https://frontier-investment.jp/real-estate-self-pension/
生命保険代わりにできる団信とは?
https://frontier-investment.jp/hoken-danshin/
4-1.メリット1.投資計画が立てやすく、精神面にも負担が少ない
公務員の特徴はリストラの可能性がほとんどなく、一度入りさえすれば将来の収入が確保されているという点です。
収入の額も年功序列であることが多く、職場の先輩達の話しを聞くと自分が将来どれくらいもらえるのか分かってしまいます。
もちろん例外もあり、公務員の中にも特に国家公務員の中では出世競争をしているような部署は少なくありません。国家公務員の中で出世するといわゆる官僚になり、年収もぐっとあがるのですが、ごく一部の割合なのでここでは割愛いたします。
一般的に公務員は、入社した時点でボーナスの時期、額、昇給の額などが決まっているため生涯年収が計算できることが多いです。
この安定的な収入をもとに投資計画を立てやすいという大きなメリットがあります。
例えば今から3年後には500万円の貯金が増えているからそれを頭金にしてマンションを買う、設備投資をする、などの計画を立てやすいということです。
計画を立てやすいということはもう1つ、精神的にも負荷がないという非常に大きなメリットがあります。
会社員の場合は業績が良くてもリストラやボーナスカットは行われることが多々あります。
「いつ収入が下がるか分からない」と思いながら不動産に大きな額を投資するのは想像以上に精神的に負担があります。計画を立てても予定どおりの収入がなければ、不動産を購入できなかったり、最悪の場合は悪いタイミングでの不動産売却やリストラの場合はローンが払えなくなり破産などにもなりかねません。
公務員の場合は安定的な収入により、精神面の負荷が少なくなるという点が一番のメリットだと言う人も少なくありません。
不動産を買う際は住宅ローンとして銀行がお金を貸してくれるわけですが、そのときにもちろん審査があります。
その人がどういう会社に勤めているのか、年収はどれくらいあるのか、貯金額や資産はあるのか、などを元に判断されます。
単純に年収が高いから大きい額のローンを組めるという訳ではなく、長く勤めることができるのか、収入が安定しているのかという点も非常に重要です。
その点、公務員の収入は先ほど述べたように安定していますし、リストラの可能性もほぼないので長く勤める方が多いのです。
結果的に公務員の与信は大きくなることが多く、公務員より年収の高い大手企業の会社員以上に銀行から信頼されることが多々あります。
更に公務員の場合は住宅ローンの金利を優遇されることもあり、むしろ銀行側から、うちから借りてくれという引っ張りだこの状態です。
会社員の場合はこの住宅ローンの審査が通るかどうかがネックになりやすいのですが、公務員の場合は最大限の自信をもって挑んでいいでしょう。
基本的に公務員の場合は手間が掛かるような投資や副業はお勧めしません。業務中にちょっと抜け出したりすることはもちろんできませんし、スマホをいじることも休憩時間以外にはできないでしょう。また、仕事内容的にも確実で正確にこなすことを求められるので、投資のことが精神的にも影響しないほうが望ましいです。
例えば区役所で重要な書類を作っている時に、投資のことが気になって仕方がない、みたいなことは仕事のミスを誘発するので避けたいはずです。
その点、不動産投資は基本的には不足の事態に対する対応や普段の管理業務自体も管理会社に丸投げで良いことが多く、普段の仕事中に何も意識しなくて構いません。
株や為替のように短期的に大きく価値が変動もしないので、ゆったりと構えることができ、精神的にも「仕事中に気になって仕方がない」という状態は避けることができます。
つまり、不動産投資は手間が掛からないので本業と両立しやすい、という点が3つ目のメリットになります。
公務員は副業・投資が一定の規模で禁止されています。
詳しくはこちらの記事に書いておりますのでご参照ください。
副業禁止の公務員・会社でも不動産投資ができる理由
https://frontier-investment.jp/sideline-ban-real-estate/
副業禁止と言いつつも、規定の範囲内で規模が大きくなりすぎなければ、認められており、認められているものの中の代表例が不動産投資なのです。
公務員で不動産投資をしている、過去にしていた人は多いので、前例を元に認められることが多く、そういった審査をする担当の人としても、不動産投資であれば、見慣れているので審査を通しやすいということもあります。
これが仮に、仮想通貨の投資を申請したとすると、為替のカテゴリーになるのか、どういう取り扱いになるのかが分からずに投資が認められなくなる可能性が高くなります。
投資規模を小さくして申請せずに、投資する場合でも「もしかしたら副業禁止規定に引っかかってるかも」と思いながら投資をするのは気が引けますよね。
公務員の副業・投資として一番多く実績がある不動産投資はそういう意味で認められやすいので、ある程度の規模までなら副業禁止規定も気にせずにできるということです。
5-1.デメリット1.公務員の種類によっては転勤の影響を受けやすい
5-2.デメリット2.ストレスにより本業に悪影響の可能性がある
5-3.デメリット3.カモの対象として狙われやすい
5-4.デメリット4.情報漏洩によるリスクが大きい
そもそも公務員かどうかに関係のない不動産投資のデメリットの話は本章では省略しております。
公務員だからこそのデメリットに焦点を絞った内容となっております。
まず公務員といっても様々あります。
大きく分けて主に県庁や市役所で働く地方公務員、各省庁に配属され働く国家公務員があります。国家公務員も1種、2種と分かれています。
このあたりは弊社よりも公務員の皆様のほうがお詳しいかと思いますので省略いたします。
大事な点は公務員といっても種類が多く、仕事の忙しさも様々だと言うことです。
経済産業省、国土交通省、農林水産省など各省庁で働く公務員は特に転勤が当たり前で2,3年で引越しをする可能性が常にあります。
例えば、自宅の近くにある不動産に投資をして、何かおこった場合はすぐに駆けつけれるから安心だ、と思って購入した場合は転勤によってその安心はなくなってしまいます。
何かあった場合も管理会社に一任で自分で物件を見に行くつもりがなければいいのですが、「自宅の近くにある物件」のほうが安心という方は転勤リスクを考慮しなければいけません。
また、そもそも仕事が忙しすぎる場合はほんの僅かな時間でも不動産投資に掛ける時間が惜しくなります。管理会社に管理を任せる場合でも必要に応じて連絡がきて、投資家は返事をしなければいけません。
この忙しい時に「不動産投資関連の決断を迫られるリスク」を考えておくべきです。
例えば、「内装が古くなったから費用を掛けて修繕していいか」「入居者とトラブルがあったからこういう対応をしていいか」等です。最終的な決裁権は投資家にあるので数年~数十年不動産投資をしていれば決断を迫られる場面は必ずあります。
経験がある方は十分にご理解頂けると思いますが、仕事が忙しい時に、そういった本業以外のことで決断を迫られるのは想像以上にストレスが掛かります。その時の判断で後に大損することになっても結局は自己責任になりますので、僅かにでも時間を掛けて判断する必要があるのです。
公務員というと必ず定時で仕事が終わるイメージも方も多いかと思いますが、国家公務員だとそうでもないことも多々あります。
普通に残業が恒常的に発生している省庁も多いのです。
どこの省庁とは言いませんが出世して、あわよくば官僚も狙えるような環境だと周りからのプレッシャーもあり労働環境が悪くなりがちです。
ほんの一例ですが、日本銀行が為替介入する前日などは、金融庁の職員は徹夜で準備していると聞いたこともあります。
どれくらい仕事が忙しくなるかは先輩公務員に聞くと分かると思いますが、一日二日ですぐに辞めることができない不動産投資をやっても大丈夫そうかどうかはよく考えるべきでしょう。
公務員は民間企業と違ってミスのない仕事が求められるので、心配症の人は本業以外のことで時間を割いたりストレスを溜めることは避けるべきです。
例えば、区役所での住民票や所得証明書の発行など、1つ1つは簡単な作業に見えても公的書類になるので1つのミスが許されないのです。そのため着実に仕事をこなす必要があり、見た目よりも集中力を使います。
仕事と投資の頭を切り分けて、仕事のときは投資のことは考えないようにできる人であればいいのですが、投資しているマンション付近で火事があった、通り魔が出た、同マンション内で空室が増えてきた、など気になる可能性があるものは無数にあります。
不動産投資のことが気になってしまうと集中力が下がったり、不安になってきて仕事のミスに繋がりやすくなり、結果的に不動産投資がストレスの原因になってしまうことがあります。
この点に関しては肩の力を抜いて、ある程度適当に考えれる人、なんとかなるや、みたいなタイプのほうが向いていると言えます。
ご自信の性格と照らし合わせて、本業に支障がでないか判断すると良いでしょう。
メリット編のほうで書きましたが、公務員は銀行からの信頼が厚く住宅ローンが通りやすいので、不動産投資を勧められやすい傾向にあります。
そして、比較的真面目な方が多く人をあまり疑わない傾向にあります。
その結果、悪徳業者から狙われる可能性がぐっとあがるのです。悪く言えば、カモにされやすいのです。
住宅ローンが通りやすく、他に借り入れをしていない方が多く不動産投資を始めやすい方が多い、かつ人をあまり疑わないということで悪徳業者が常に狙っています。
そのため、自分が騙されやすいという自覚があれば、業者のことは適度な距離感を保ちつつ、話を全て信じるのではなく自分で調べて裏取りをしていくような努力も必要です。
騙されやすい人で、自分が騙されやすいという自覚がない人が一番危険です。まさか自分が騙されるなんて、と思わずに少しでも不安があれば不動産業者ではなく利害関係のない家族や友人に相談をしましょう。
誰かに話すことによって自分の状況を客観的に見ることができ、騙されるリスクをぐっと抑えることができます。
不動産投資の話で何か違和感や不安があったときに不動産業者に相談するとその時点で騙される可能性もないとは言い切れないので、まずは信頼できる人への相談をしましょう。
不動産はやはり何千万もの金額になるので詐欺被害にあった場合は大損してしまいます。公務員の方で自分が騙されやすいと分かった時点で投資は諦めるのも1つの選択肢として置いておくと気が楽でいいしょう。
公民間企業でもそうですが、私情を仕事内に持ち込むことは良いことではありません。
特に公務員であれば尚更です。
公務員はフェアに規則どおりに仕事をこなす必要があり、私情を挟むことは許されません。
例えば、外国人向けにビザを発行している職員が、自分が投資している不動産の価値の上下で気分が上下し、ビザ申請の合格・不合格の割合が少し変動する、みたいなことはあってはならないのです。
法務局で土地の登記簿を発行する職員が、「この土地の近くに自分の不動産があって~」みたいな助言をしたりする行為は避けられるべきです。
仕事と不動産投資は一切関係がないものとして、ミスなく仕事をこなさなくてはいけません。
何でもペラペラ喋ってしまう人は、不動産投資をするとその事も話してしまったり、投資が失敗すると悪い影響が出る可能性がありますので、注意しなくてはいけません。
仕事に私情を挟まないように注意すればいいだけの事ですが、何十年も続けると考えると日々の気遣いはストレスになるかもしれません。
何でも話してしまう人で、そういった気遣いをしたくない場合はそもそも不動産投資をしなければいいという訳です。
この点はほとんどの人は問題ないかと思いますが、無自覚に色々と他の人の秘密を口を滑らせて話してしまうような人は一度考えてみたほうがいいでしょう。
6.国家公務員が不動産投資している時にリストラされるとどうなるか
6-1.公務員がリストラされることはあるのか。
6-2.実質的に解雇されるケースとは?
6-3.不動産投資をしている公務員がリストラされるとどうなるのか。
6-4.まとめ
まず、公務員がリストラされることはない、とお考えの方が多いかと思います。
本コラムのタイトルを見て、少し混乱されたかもしれません。
結論から言うと、公務員にリストラという制度はありません。
リストラは正確に言うと整理解雇という言葉になりますが、民間企業で行われる整理解雇は公務員には実施されません。
なぜ公務員にリストラは実施されないのかは「リストラをするための条件を公務員だと満たすことができないから」になりますが詳しくは本コラムの趣旨から外れますので省略させて頂きます。
解雇という意味で見ると、懲戒免職や分限免職といったことで、解雇される場合は当然あります。公務員の規則に違反すれば、程度によっては懲戒免職になる可能性も十分にあります。
分限免職は以下の処分のことを意味しますが、組織構造などが大幅に変わる場合を除きほとんど実施されることはありません。
組織構造が大幅に変わる時は郵政民営化のように公共事業が民営化される時に発生しやすくなります。
過去の事例で最も多くの分限免職がされた例だと、社会保険庁から日本年金機構への組織構造が変わったときに500名の方が分限免職となりました。
公務員の人口60万人を母数とすると、民間企業のリストラ率と比較して、かなり低い確率と言えるでしょう。
結論から述べると2パターンあります。
1つ目は1章で述べた分限免職でほとんど実施されることはありません。
2つ目は自ら辞職するように追い込まれるケースです。
公務員だからリストラできないと言っても、10年20年経てば人が要らなくなることは多々あります。人口も変われば、社会全体として必要とされる公共事業も変わってくるからです。
人を増やすには募集を多くすれば比較的人気名職業のため簡単ですが、いわゆるリストラはできないので人手が不要となったときに困るわけです。
そういった時は辞職してもらうように仕向けられるケースがあります。辞職に追い込む方法は民間企業ではよくある手法ですが、公務員でも数は少ないですがあります。
大企業においてリストラはしたくないけど、社員に辞めてもらいたい時は非常に組織的にマニュアル化された方法で人事から辞職に追い込まれていくのですが、公務員でも同じ方法が取られるということです。
この方法はじわじわと精神的に追い込まれるので、一度ターゲットとして狙われると逃げること(辞職しないこと)から非常に困難だと言われています。
公務員にも国家公務員、地方公務員、様々な組織がありますので組織によって辞職に追い込まれることがないところもあり一概には言えません。ただし、リストラはなくても実質的なリストラはあるということが重要です。
6-3.不動産投資をしている公務員がリストラされるとどうなるのか。
民間企業と大きく違う点は失業保険が適用されないという点です。
1年以上勤めてから辞めても失業保険がないので、辞めた翌月から無収入となります。
失業保険があれば今までの給料の約6割を半年間もらいながら就職活動ができるので少しは余裕をもって仕事を探せますが、公務員の場合は突然無収入になるのでできるだけ早く仕事を見つけなくてはいけません。
また、社会保険料は前年の年収に基づいて計算されるので、収入が減ったとしても翌年になるまでは高い社会保険料を払わなくてはいけません。公務員だったときは国や組織が半額負担をしてくれますが、辞職後、就職するまでは自分で社会保険料を全額払わなくてはいけません。
辞職後に収入が減っても社会保険料は逆に高くなるのでこの現実にショックを受ける方が多いのですが、これで退職金などを消化してしまうこともあります。
可処分所得が大幅に減少もしくは毎月の支出が収入を上回ってしまうことも十分考えられます。退職金がない場合はもっと悲惨な状況になります。
所有している不動産のローンの返済は辞職に関係なく毎月続きます。
もし入居者が少ないもしくは居ない場合で家賃保証などもない物件だった場合、就職活動をしながらローンの返済をしばらく続けなければいけません。精神的に弱い方であれば就職活動にも悪影響があるでしょう。ローンの残債が少なければこの機に売却してしまうのも選択肢として考えるべきでしょう。
ほとんどの場合は不動産それ自体が担保になっているので、収入減によりローンが返せなくなった場合は強制的に売却することになります。
それでも残債が残る場合は連帯保証人へ請求がいくことなってしまいます。
リストラはなくても実質的なリストラはあります。
そして公務員は失業保険がないので、辞職後に収入が途絶えます。
家賃保証がなく、入居者がいない場合は住宅ローンは貯金を切り崩して返済しないといけないので、できるだけ早く就職しなくてはいけません。
このように公務員だからリストラはないと安心しきっていると、実質的なリストラがあったときに大変困ったことになります。最悪の場合は連帯保証人が払うことになるか、それも難しい場合は自己破産ということになるでしょう。
公務員の方は不動産購入の前に自分の組織で実質的なリストラがあるのかどうか、見極めておいたほうが賢明と言えるでしょう。
7.不動産投資をする公務員~4名の実例集~
7-1.公務員の副業や投資について
7-2.不動産投資のメリットとデメリット
7-3.実例集その1~副業公務員ブログ~
7-4.実例集その2~地方公務員のブログ じゅんアパート経営~
7-5.実例集その3~トモブログ 現役国家公務員 FXトレーダーの副業クエスト~
7-6.実例集その4~K-style 宅建公務員大家~
7-7.まとめ
公務員であっても、将来安泰だとは言い難い世の中となってきています。そうした世相を反映してか、公務員でも投資や副業に興味を持つ方は増加してきています。その中でも、不動産投資は、社会的信頼が高く、融資を受けやすい公務員にとっては、魅力的な投資先と言えますね。実際に、不動産投資をする公務員がどのように投資をしているのか、4名の実例を元にライフスタイルなどについてもみていきたいと思います。
実例集を紹介する前に、公務員の副業や投資が、そもそも民間企業よりも規則が厳しめとなっている理由と、公務員が可能な副業や投資について、確認してみましょう。
民間企業と公務員の違いについて
・民間企業に勤める場合
基本的に、所属する会社の就業規則に、兼業規定が記載されている場合が多いです。会社ごとに違いますが、一般的に兼業は禁止、あるいは、場合によっては認めるなど規定がされています。しかし、あくまでも会社での規則なので、法的拘束力はないと言えます。
・公務員の場合
基本的に、公務員は、その収入源は税収の為、厳しい規律が憲法で規定されています。例えば、日本国憲法第15条第2項では、「全ての公務員は全体の奉仕者」であることが明記されています。その為、基本的には、以下の通り、副業や投資に関しては厳しい措置がとられています。
➀国公法 第99条 信用失墜行為
➁国公法 第100条 守秘義務
➂国公法 第101条 職務専念の義務
このように、法律でその職務について明記されており、この原則に抵触しない場合は、例外的に副業や投資が認められることになっています。又、詳細は人事院規則14-8に定められており、不動産投資に関しては以下の規則が定められています。
➀一定規模以下であること(5棟10室未満)
➁年間家賃収入500万円未満
➂管理会社に業務を委託していること(本業に支障をきたさない)
つまり、憲法での規定、法律での規定、そして規則に関しての規定を全てクリアした場合の副業や投資については、認められると解釈することが出来ます。
公務員が可能な副業や投資とは?
公務員の副業や投資の制限を抑えた上で、今度は具体的にどういった副業や投資が出来るのかみていきましょう。
・公務員が可能な副業や投資
株式投資、FX、農業、不動産
主にこれらの投資が認められており、クラウドワークス、アフィリエイトなどは、先述の法的制限により、グレーゾーンだと言えます。この中でも、公務員が不動産投資に適している最大の理由が以下となります。
・資金作りに適している=融資を引き出しやすい
この点に関して、公務員は社会的信用力が高いので、最大のメリットと言えます。その為、公務員の投資先として、不動産投資は相性が良いと言えます。では、不動産投資のメリットとデメリットをみてみましょう。
公務員の副業可否に関しては以前のコラムにも詳しく書いていますので是非ご参考ください。
国家公務員が投資をする場合のメリット・デメリット【実例付き】
メリット
➀融資してもらった資金で投資でき、家賃収入で返済できる。
➁節税効果がある
➂生命保険、死亡保険として活用できる
➃インフレへのリスクヘッジが出来る
主にこの4つのメリットがあり、それぞれみていきましょう。
➀融資してもらった資金で投資でき、家賃収入で返済できる。
➀については、公務員であれば融資されやすく、家賃収入を継続的に得ることが出来れば、ローン返済後は、安定した収入を得ることができます。
例えば、1,000万円で物件を購入して、家賃収入が月に10万円発生した場合をみてみましょう。
・1,000万円÷96万円(月10万円×12ヶ月-24万(各種費用20%))=10.4(年)
以上のようになり、約10年と半年で、ローン返済が終了し、後は安定収入となります。
➁節税効果がある
➁については、不動産所得がマイナスになった場合で、他の所得が黒字の場合、減価償却するとキャッシュフローは黒字のまま、帳簿上ではマイナスにすることが出来ます。その為、結果として、節税の効果がある場合があります。
➂生命保険、死亡保険として活用できる
➂については、不動産の保有は、団体信用保険組合への加入が必要となっており、ローンの返済中に死亡した場合は、ローンの残債を免除されます。その後、売却して生命保険の代わりとしたり、売却せずに家賃収入を継続して得られたりと、いずれにしても収入を得ることが出来ます。
➃インフレへのリスクヘッジが出来る
➃については、通貨価値が低下して、インフレになった場合でも、不動産の価値は影響を受けにくい性質があります。その為、インフレ対策としての安全資産としての魅力があります。現在の日銀による異次元緩和によって、低金利が継続しており、急激なインフレになる可能性が懸念されています。その為、インフレリスクに対する不動産の価値は、一部の識者の間では上昇していくものと推測されています。
デメリット
では、デメリットについてみてみましょう。不動産投資では、主に4つのデメリットが挙げられます。
➀必要資金、初期費用が高い
➁流動性が低い
➂空室リスク(家賃回収率が悪い)
➃ランニングコストがかかる
➀必要資金、初期費用が高い
➀については、融資といっても債務、即ち借金であることには変わりないので、リスクはあると言えます。
➁流動性が低い
②については、最大のリスクと言え、「すぐに売買できない」というのが、株式投資やFXと最も違う点だと言えます。その為、購入の際はより調査や勉強が必須となると言えます。
➂空室リスク(家賃回収率が悪い)
➂については、駅から遠いなど人気がない物件を購入した場合、空室率が高くなってしまい、目標家賃収入を得ることが難しい点が挙げられます。
➃ランニングコストがかかる
➃については、修繕費や維持費などで、コストがかかってしまう点が挙げられます。
これらのデメリットがありますが、しっかりと不動産に関するセミナーや、本などで下調べを行い、不動産業者や、融資先の金融機関から情報を得ることが出来れば、抑えることが出来るデメリットだと言えます。
これらを踏まえた上で、公務員でありながら、不動産投資をしている方のブログを、実例を挙げてご紹介致します。
サイトURL: https://www.lifehacking360.com/
ブログの運営者は、地方公務員を約15年務めており、投資歴は14年の経歴の持ち主です。月収入を5万円多く稼ぎたいという気持ちから、不動産投資をはじめ、取り組みやすい株式投資などについても詳しく解説してくれています。地方公務員の給与や待遇面についても、分かりやすく記載されているので、公務員の実態を詳しく知ることが出来ます。
担当業務は、役場の庶務としており、目的外使用許可、指定管理など許認可及び契約関連の行政事務を幅広く担当している方です。その経験から、生活保護の方を対象とした不動産投資の在り方や、米軍基地の不動産投資など、自身の職務経験から、不動産投資に活かせるノウハウなどもブログで公表してくれています。
又、不動産リスクに関しても、株式投資などの違いと比較して、分かりやすく解説してくれています。
7-4. 実例集その2~地方公務員のブログ じゅんアパート経営~
サイトURL:https://ameblo.jp/zyunn000/
ブログの運営者は、地方公務員に勤めている20代の方で、土地から購入し、新築アパートを購入して、現在、満室での運営を実現させ、実質利回り10%を達成しています。公務員であっても、人事院規則の範囲内であれば、届け出無しで不動産投資を行えることを教えてくれています。
ブログでは、不動産投資の最初から詳しく記載しており、参考になる部分が多く記載されています。例えば、最初は施工会社を決め、間取り配置図を確認し、融資先の金融機関と交渉するなど、手順が参考になると言えます。又、金利を何年で何パーセントにするか、確定申告での住民税は普通徴収にして、職場へ知られてしまうことを防ぐなど、細かいところですが、重要な点もブログに投稿してくれています。不動産投資をイメージするには最適なブログだと評価できます。
ライフスタイルは、規定内での副業を守りつつ、本業をしっかり両立できている生活を送っているものと推測でき、旅行などにも出かけており、ゆったりとした生活を送っていると言えます。
7-5. 実例集その3~トモブログ 現役国家公務員 FXトレーダーの副業クエスト~
サイトURL:https://side-joblogger.com/
こちらは、現役の国家公務員が運営するブログとなっています。公務員が行う不動産投資にまつわる疑問について詳しく記載されており、一見する価値ありだと言えます。30代の国家公務員ですが、宅建士の資格を有しており、最近では不動産鑑定士の資格取得を目指して頑張っています。ゆくゆくは脱公務員を目指し、FXでのトレードなどにも注力しています。
不動産の投資信託商品であるJ-REITの仕組みなども解説しており、不動産の投資に関する投資信託についても、詳しく解説してくれています。
本業に支障が出ていないか心配になりますが、選択肢を増やしたいと思って、各種試験勉強、ブログ、投資に時間を多く割いている模様です。
サイトURL:https://profile.ameba.jp/ameba/yellow-sports
こちらのサイトは、公務員やサラリーマンを対象にした不動産投資に関する記事を投稿してくれています。運営者は、神奈川県在住のアラフォーの方で、都内に区分マンションを多数保有しています。不動産が大好きということで、宅建士を始め、数多くの不動産に関する資格を保有しています。
特に、不動産の中でも、ワンルームマンション投資に特化したメソッドを公開しており、年間で100万円近い収入を得ることに成功しています。不動産投資の中でも、区分マンション投資に興味のある方は、ぜひご覧いただきたいブログとなっています。
菅政権に代わって、デジタル庁が創設されるなど、これまで縦割りだった行政組織の業務が、スリム化し、国家公務員の方にとっては、業務負荷が軽減されていくものと推測されています。その為、多忙な国家公務員の方でも、時間を捻出することが出来るようになり、今後は副業や投資なども柔軟に行える時代になると言えます。
柔軟な働き方に公務員が対応できるようになれば、優秀な人材の確保にも繋がるので、現在不満を抱えていらっしゃる公務員の方でも、チャンスは広がっていくものと推測できます。
これらから、現在投資に興味がない公務員の方でも、積極的にこういったブログを参考に、今後の働き方や投資を考え直してみても良いかもしれませんね。
8.マンション経営で実現するセカンドライフ 公務員編
8-1.不動産投資をする公務員の割合
8-2.セカンドライフの過ごし方
8-3.マンション経営で貯まる貯金額
8-4.ゆとりあるセカンドライフの為に
8-5.まとめ
老後2,000万円問題など、従来の退職後に悠々自適に過ごす老後イメージとは裏腹に、誰もが長生きすることで、資金不足に陥ってしまう可能性が高くなってきているのが、現在の日本だと言えそうですね。又、これを背景に誰もが生涯働き続ける必要が出てきていると言えますね。そのような時代背景を鑑みて、公務員の方が、マンション経営で実現するセカンドライフについて、事例を踏まえてご紹介させていただきます。
不動産投資をする公務員の割合
不動産投資をする公務員の割合は、アパートオーナーの意識調査によると以下のようになっています。築10年未満の賃貸アパートの所有者の内、職業が「公務員」と回答した人は7%、又、遊休地を所有していて、潜在的にアパートオーナーになりたいと思っている人の職業が公務員の割合は、6%となっています。
これは、一般のサラリーマンのアパートオーナーに比べると低い割合となっていますが、以下の理由により、公務員は不動産投資と相性が良いということが分かります。
公務員が不動産投資と相性が良い理由
公務員は、その安定的な職業という属性に所属しているため、社会的な信用力が高い職業と言えます。その為、金融機関が行うローン審査も他と比べると通りやすく、不動産投資と相性が良いと言えます。
しかし、その職業の特殊性により、ある程度投資に対しては、制限が設けられています。その制限をみてみましょう。
公務員は規則によって、不動産投資が制限されている
公務員は、国家公務員であれば、国家公務員法、地方公務員であれば、地方公務員法で、その職務が法律で規定されています。その為、投資にも制限がされており、具体的には人事院規則14-8で、以下のように定められています。
➀一定規模以下であること(5棟10室未満)
➁年間家賃収入500万円未満
➂管理会社に業務を委託していること(本業に支障をきたさない)
つまり、税金が収入源の公務員には、相応に本業に集中してもらわないと困るという立法主旨の為に、投資などの本業とは別の活動に対しては、民間よりも当然厳しい規則が設けられています。
しかし、見方を変えれば、認められている投資もあるということで、先述の融資が受けやすいという属性から、不動産投資は出来れば今後を見据えて、規則の範囲内で取り組んでみる価値はあると言えますね。
これら公務員の不動産投資に関する現状を踏まえた上で、セカンドライフの進め方をみてみましょう。公務員は、セカンドライフを考え始める50代前後になると、その持ち家比率は、82.6%にも昇ることが判明しています。
その為、この年代では、すでに何らかの役職についており、今後も見据えて安定的に退職まで高収入を考えられる段階であり、住宅ローンの残債も残り少なくなってきている段階だと言えます。
これらから、退職金をそのまま預貯金でもっておくよりも、現役の段階から、不動産投資などの何らかの投資対象物に投資しておく方が、預貯金で現金を確保しつづけるよりも、有効に資産運用が出来る段階だと考えられます。では、こういった背景を踏まえて、事例でみてみましょう。
マンション経営で貯まる貯金額
では、公務員が不動産投資を行って貯まる貯金額について、不動産投資を行わなかった場合と比較して事例を交えてみてみましょう。
不動産投資を50歳からスタートした場合
では、50歳時点から、不動産投資をスタートさせた場合で、75歳までを試算を参考の上、みてみましょう。
諸条件
・35歳で、住宅の購入金額が3,000万円、頭金が500万円で、住宅ローンは2,500万円
・フラット35を適用させ、全期間固定金利で試算
・年利1.11%で、月の支払いは約7万円
この状況から、50歳時点のローンの残債は、1,680万円(84万円×20年)と試算でき、70歳で完済することとします。この時点で、投資用マンションを購入した場合の試算は以下のようになります。
・50歳時点で、投資用マンションを6,000万円で購入、頭金2,000万円、4,000万円をローン30年で設定して試算
・金利は4%で、家賃収入は月30万円、支出が19万円と試算(品川区の平均家賃額を参考)
次に50歳から、この投資用マンション経営を開始した場合の、70歳時点の状況は以下のようになります。
・居住用の住宅ローンは完済し、投資用不動産のローンの残債が、あと10年分
・金額としては、120回分(12ヶ月×10年)の支払いで、2,280万円(19万円×120回)
・退職金2,000万円を全額このローンの残債に充当したとして、試算すると、残りの残債は280万円
では、75歳時点をみてみましょう。
・家賃収入が年360万円(月30万円×12ヶ月)×5年=1,830万円
・1,830-280万円=1,550万円の家賃収入
このように、75歳時点でみてみますと、1,550万円の現金資産と、居住物件1棟、投資用不動産1棟を揃えた状況となります。すでに双方の物件のローン支払いは完了しているので、後は、家賃収入だけで十分暮らしていけるようになります。一方で、住宅ローンの支払いのみの場合は、退職金の2,000万円をそのまま、支出していく形となります。一般的な収入と支出は、夫婦で月27万円の支出、22万円の収入(年金など、社会保険を含む)で、無就業の場合を試算してみますと、70歳から75までの5年間で、300万円の支出となり、1,700万円の預貯金のみとなります。
さらに、80歳の時点では、この差が逆転し、不動産投資を行っている場合は、1,800万円の収入がプラスする形となり、投資していない場合は、1,400万円の預貯金のみとなります。この為、預貯金で老後を年金のみの収入で頼るよりも、不動産投資を行うことで、収入源を増やしておき、就業できなくなっても、収入が期待できる状況を構築しておくことが出来れば、年齢を重ねるにつれてその差が大きくなっていくことが分かります。
上記の例以外にも、住宅ローンの支払いが完了している物件を、投資用不動産に変更させ、自身は、老後に移住してみたいと思っていた地方に住みながら、持ち家を活用することも出来ます。その場合も、安定した家賃収入を確保しながら、退職金の一部を用いて、地方の安い物件を購入し、住むことも可能であり、不動産投資の活用方法としては、様々なオプションが選択できるという点も魅力的なポイントとなっています。
注意したいのはパンデミックによる人口移動とその影響
注意したいのは、先述の試算が空室ゼロとした上で、試算している点です。2020年に発生したパンデミックの影響は、2020年9月末の段階で地価基準にも影響を与えています。具体的には、東京圏の住宅地の地価基準が、マイナス0.3%とマイナスを記録しています。又、人口についても、これまで東京への一極集中が続いており、転入超過となっていましたが、今年に入って初めて、東京都の人口が一転して減少となりました。
具体的には、2020年8月1日の総務省による住民基本台帳人口移動報告書によると、都の人口は1,399万人3,721人で、前月から5,903人減少していることとなっています。この5,903人の内訳は、日本人が180人増加、外国人が6,083人減となっているように、外国人の人口減が主な要因となっています。
しかし、今後パンデミックの影響により、企業の業績不振が相次いでいることから、失業などによる収入減が都民の中でも、続出するものと推測出来、家賃の安い地方へ移住することが考えられます。さらに、現代の仕事のやり方も変容してきており、テレワークが出来る職場であれば、都内に住む必要もないので、若い世代を中心に、今後日本人でも地方へ移住する人が増加していくものと推測出来ます。
これらの要因から、空室リスクがゼロとなるように、ある程度の今後を見据えた不動産投資が重要になっていくものと言えます。空室リスクをゼロで、利回りの良い安定した不動産賃貸経営を行えれば、先述のように資産を増やすことが出来るという点は、留意していただきたい点です。
このようにゆとりあるセカンドライフを実現する為には、ある程度の預貯金と今後の仕事の見通しが立っている場合は、預貯金を不動産投資で利回りの良い物件に充当させ、数年後に利益を得るポートフォリオを構築させておくべきだと言えますね。日本人の平均寿命は年々伸びており、2019年の厚生労働省の調査によると、男性は81歳、女性は88歳となっており、今後も医療の発達及び技術の進歩により、寿命が延びていくものと推測されています。その為、先述のように、ゆとりある資産形成の為にも、公務員で仕事をしている場合は、社会的信用が高いという属性を活用して、今後を見据えた不動産投資を活用することは、1つの老後対策になりうると言えます。
又、預貯金だけでは、低金利の日本においては、金利差でその預貯金を増やすことが難しくなってきており、一部の余剰資金を投資に回したほうが、利回りを期待できる状況となってきています。その為、不動産投資などの公務員の属性を活かせる投資は、現役の間に準備して取り組む価値があるものと言えます。例え、失敗したとしても、資産価値がきちんと評価される物件であれば、買い手もつくので、事前の情報収集は前提として、取り組む価値は増していもくのと言えます。
これまでみてきましたように、充実したセカンドライフを過ごす為にも、資金に余裕のある方は、不動産投資をオススメします。これまでみてきましたように、預貯金のみと、不動産投資をした場合では、老後に大きな差がつくと推測出来ます。しかし、パンデミックの与えている影響も考慮して、今後を見据えた不動産投資を行っていく必要が出てきているのは確かだと言えます。その為、不動産投資の物件探しや、金融機関との相談、不動産仲介業者の方との情報共有など、やれるべきタイミングでしっかりと事前準備を進め、老後を見据えて納得できる不動産投資をしていきましょう。