「賃貸併用住宅」はかなりマイナーであり、基本的にはお勧めしませんが、特定の条件の元では経営面で効果的な時があります。
本記事ではメリット・デメリットとお勧めしない理由、逆にどういう条件では賃貸併用住宅の経営をするべきか解説します。
マンション経営の全体像
賃貸併用住宅というと、なんとなく大家が3階に住んでいて、1,2階を一般の方に貸し出しているようなイメージを思い浮かべる方が多いと思いますが、まさにその通りです。
ただし、居住空間は別々です。玄関が1つで同じ空間を使う、お風呂が1つで共同で使う、なんてことはありません。建物は同じだけど、玄関から居室はそれぞれ世帯ごとにあり、大家も一緒に住んでいるということです。
お風呂・トイレ・キッチン・玄関などが共同の場合は、賃貸併用住宅ではなく、大家も一緒に住んでいる「シェアハウス」になります。
パターン1.一軒家タイプ
一般的に賃貸併用住宅というと以下の図のような一軒家で大家の居住空間と賃貸部分が分かれている建物がほとんどとなります。
参照:https://www.yamatojk.co.jp/choose/rent_plus
3階建ての一軒家も多く見受けられます。
パターン2.中高層建築物(マンション)タイプ
一軒家ではなく、4階もしくは5階のマンションタイプです。
参照:https://land.home4u.jp/guide/apertment2-management-4-752
商業エリアなど人と建物が密集しているエリアに多く見受けられます。
1階部分はテナントとしてお店になっているケースもあります。
ほとんどの場合、鉄筋コンクリート構造のため耐用年数が長く、長期的な経営が可能です。
パターン3.アパートタイプ
以下の図のようにアパートの一室に大家が済んでいるパターンです。
最近では少なくなりましたが、1990年以前は多くありました。
まず賃貸併用住宅はメリットよりデメリットのほうが多いです
大家が賃借人と同じ建物に住むと常に気を使わなければいけません。賃借人はいわば大家から見ればお客さんですから、迷惑を掛けてはいけないのです。
深夜帯の騒音、足音、ごみの出し方、出会った時の挨拶、匂い、近所付き合い等々、気に掛けることは数多くあります。大家が賃借人に迷惑を掛けると、最悪の場合は「迷惑な大家が住んでいる物件」という評判にもなりかねません。
他にも、賃借人が家賃を滞納してしまったら、いとも簡単に気まずい関係になってしまいます。
もちろん、お互いの顔を知っていて、良い関係が築ける可能性もあり、メリットもあるのですがデメリットのほうが圧倒的に多いと言えるでしょう。
そもそも、大家が住まなかった場合は、その空間も賃貸で貸すことにより収益を上げることができるので、諸々の事情を考慮せずに言うと、わざわざ同じ建物に住む理由はあまりありません。
デメリットが多いという話をしましたが、以下の条件がいくつか揃うと賃貸併用住宅としての経営がお勧めです。
条件1.大家族で住んでいたが、子どもが独立し、空き部屋ができたが、小さい家への引越しは難しい。
条件2.階段や内装の都合で大家が住んでいる居室は賃貸として貸すことが難しい
条件3.他人との毎日のコミュニケーションが苦にならない、むしろ楽しい
条件4.大きい家で住んでいるが、経済状態が悪く、一部を貸して収入を得たい
条件1について
大きめの一軒家で空き部屋がいくつかできてしまった場合は、新しく小さい家を借りる等して、一軒家まるごとを賃貸として経営したほうが収益は大きくなります。
例えば、一軒家の内、半分を家賃10万円で貸すよりも、一軒家まるごとを家賃25万で貸したほうが収益が大きくなります。やはり大家が一緒に住んでいるというと、借り手がぐっと減ってしまうので、家賃も大きく下げなければいけません。借り手としても大家と一緒に住みたくはないという方が大半だからです。
しかし、病気やお金の都合で小さい家に引越しができない、家に愛着があって引越しはしたくない等、様々な理由で引越ししないこともあるかと思います。
そういった時には、賃貸併用住宅として家を少し改造して、空いている部屋を活用することが有効になります。
条件2について
条件1の続きのようなものです。空き部屋が多くできたが、大家が使っている居室が古すぎて賃貸としては貸せないパターンや、家の構造的に賃貸としては貸すことができないこともあります。どうせ貸せないのであれば、自分が住んで、お金を節約するというパターンです。
条件3について
そもそも同じ建物に賃借人と住むことがストレスにならない方もいるかと思います。むしろ人とコミュニケーションを取ることが楽しみで仕方がない方にとっては大きなメリットになります。ただ気をつけないといけないのは、賃借人はそれを望んでいるかは分からない点です。そこは空気を読みつつ、あまりコミュニケーションを好きではない人であれば、そっとしておくのがいいでしょう。
条件4について
こちらはネガティブな理由です。
大きな家をローンで買ったが、経済状況が悪くなり、家の一部を収益化したいパターンです。
本来であれば、家賃の安いところに引越して、家をまるごと貸したほうが収益化ができますが、もし家族住まいで使っていた場合などは家族それぞれの都合があり簡単には引越しができないこともあります。
そういう時は引越しをせずに、家の一部を貸し出すという方法も有効です。