基本的弊社コラムでは、マンション、特にワンルームマンション経営に関することを中心に書いていますが、アパート経営についても今後いくつか書かせて頂きます。
弊社のお客様でもアパートとマンションの両方をされている方もいますし、アパート経営とマンション経営どちらをするかで悩んでいる方もいるかと思います。
そういった方のためにもアパート経営について解説してお役に立てれば幸いです。
今回はその第一段としてアパート経営の歴史について記事にさせて頂きました。
1.アパートの起源
2.いつからアパートが増えたのか
3.アパート経営で起きてきた多くの問題
1. アパートの起源
お茶の水文化アパートメント
画像参照:https://www.vories.co.jp/work/residence/8.html#
1925年(大正14年)に日本初の純洋式アパートメントハウスとしてお茶の水文化アパートメントが建てられました。つまり日本においてはアパートの歴史は100年弱ということになります。
当時としては珍しい鉄筋コンクリート造であり、内装はバスルームやカフェテリアなどかなり洋風を意識したものになっていました。
小説の名探偵明智小五郎の探偵事務所のモデルとしても起用されており、当時の街並みの中では象徴的な存在感があったと思われます。
同潤会代官山アパートメント 1986年撮影
画像参照:https://www.token.or.jp/magazine/g200103.html
その2年後、1927年(昭和2年)には同潤会代官山アパートメントがまだ田舎っぽさの残る渋谷に建てられました。部屋数に対して申込み者数は9.3倍であり、当時のアパートはお洒落で人気の住居だったということが垣間見えます。
ちなみに海外ではヨーロッパが19世紀、つまり1800年代の産業革命で都市部に人口が集中したためアパートが誕生しました。日本では100年弱の歴史ですが、ヨーロッパでは約200年もの歴史があるといわけです。
ヨーロッパの街並みは統一感があって美しいことが多いですが、こういったアパートの歴史も関係しているようです。
2. いつからアパートが増えたのか
今ではメジャーなアパートですが、いつからメジャーになったのか見ていきましょう。
1925年から洋風を意識したお洒落なアパートが建てられて来ましたが、当時は富裕層のみが住める住居として、爆発的に数が増える、ということはありませんでした。
きっかけは太平洋戦争の終結です。
1945年8月14日、日本がポツダム宣言を受諾したことにより長い戦争が終わりました。
その時、日本の都市部の大部分は焼け野原になっていたので大きな復興需要が起きることになります。
もちろん住まいも圧倒的に供給が追いつかない状況になり、いわゆる昭和っぽいアパートが量産されることになります。
1951年に一定の条件をクリアした住居を速やかに供給する政策の一つとして公営住宅法が制定されました。公営住宅法に沿って、同じ規格のアパートが量産されたということです。
昭和っぽい○○荘という名前がついてそうなアパートがどれも似たような形状になっているのは、こういった背景があります。
昭和から平成になり、住まいの需要がある程度落ち着いてきてからは、多様なライフスタイルに合わせて、女性向け、ペット同居向け、デザイナーズ物件などオリジナリティーのあるアパートが増えてきました。
3. アパート経営で起きてきた多くの問題
アパートに関しては昭和より平成になってから問題が多く起きています。
それは建てる時よりも建てたあとのほうが問題が起きやすいという性質があるからでしょう。
細かい問題まで挙げるとキリがないですが、大きな問題から見ていきましょう。
■家賃の滞納
昭和時代の集金方法は大家さんが個人で家賃を集金しているケースも多く、滞納されたときに個人で対応する必要があり、大変な労力が掛かるものでした。
1991年(平成3年)に借地借家法という賃貸借契約上での借り手側(住む側)が有利な法律も制定され、無理に追い出すということも難しくなり、家賃滞納問題は今現在でもアパート経営の課題となっています。
■違法建築・欠陥建築
平成になってからですが、一部の企業が大量に地主を中心に大量のアパートを売ったあとに欠陥建築であることが発覚して、一時世間を騒がせたことがあります。
最近でも界壁問題が一時話題となり違法建築のアパートが見つかっています。
原因としては本当に一部の企業ですが、アパートの建築費を抑えて利益を出そうとする企業の存在が大きいと言えます。
騙されて欠陥のあるアパートを買っても、売主との訴訟になると数年以上の長い期間がかかってしまうので泣き寝入りしてしまう買主も多いのが現状です。
■空室
当然ですが、空室が多くなるリスクは常にあります。
しかし、特に問題になるのは特定のエリアに多くのアパートが建っているケースです。
こちらも先ほどの違法建築と同じパターンですが、一部の企業が利益目的のために特定のエリアで一気に地主に営業を掛けて、売り抜けることが原因です。
近隣でもアパートが近いうちに建つことを知らずに、アパートを買ってしまい、特定のエリアで供給過多になることがあります。
こうなると少ないパイの取り合いになるので家賃の値下げ競争になってしまいます。
■老朽化
昭和に建てられたアパートはかなり老朽化が進んでいることが多く、そろそろ大規模修繕や取り壊しを検討しないといけないフェーズに突入しています。
ただ、オーナーも年配になっていることが多く、掛けるお金がない、入院中で判断能力に乏しい、などのケースも少なくありません。
マンションでも同様の老朽化問題は徐々に多くなってくると思われます。
持ち主が亡くなった時、家族に遺産として引き継がれなかった場合は国が税金を使い、何とかしないといけない可能性もあります。