家を売却する時には様々な書類が必要となりますが、その中の書類には、隣人の押印が必要なものもあるケースがあります。そこでここでは、家を売却する時に隣人の押印が必要なケースやその理由についてご紹介していきます。
1.隣人の押印が必要なケースとは?
2.隣人の押印が必要な理由
3.隣人から掘削許可や境界確認の許可を得るには?
4.まとめ
1. 隣人の押印が必要なケースとは?
そもそも、自宅を売却するにあたって隣人の押印が必要なケースはどのような場合でしょうか?第一条件として、いわゆる戸建てのような「一棟もの」の物件を売却する場合、隣人もしくは隣接する土地を持っている所有者の方の押印と署名が必要なケースがあります。
この理由はいたってシンプルで、隣接する土地又は家屋と、今回売却を検討している家屋または土地の境界が確定させておかなくてはならないからです。
そもそも土地というのはその面積で価値が変動することもあり、たとえば都心の超一等地などの場合、わずか数十センチから1平方メートルの「ずれ」でも数百万円単位で価値が変わってくることがあります。
そのため、境界線はきちんと確認し、それぞれの土地や建物がどれくらいの面積なのかを法的に確定させておかなくてはなりません。
少なくとも他社に物件を売却する場合にはこのスキームが必要不可欠というわけです。多くの場合はこの土地境界の確定を売却や取引の条件にしていることもあります。それくらい重要なことなのです。
2. 隣人の押印が必要な理由
売却するにあたって隣接する土地や建物との境界線の確定が必要だということはご理解いただけたことと思いますが、残る疑問があります。なぜ土地の境界を確定させる作業に隣人の押印が必要なのでしょうか?
これは隣人の所有する土地や建物と、自己保有物件の土地や建物の境界線を確定させる際に、隣人に署名捺印をしてもらう必要があるのです。
土地の境界確定の際には土地家屋調査士・測量士などを入れてそれぞれ土地の境界確定を行わなくてはならないわけですが、その際に他人の土地に踏み入って作業などを行う必要がどうしても出てきます。
その際に、相手方の土地に踏み入って調査等を行うことや道路や土地を多少掘削して境界確定をさせる必要がある場合には、必要に応じてその作業を行うことに対する許可を得ておかなくてはなりません。
これが、家を売る時に隣人の押印が必要な場合もある、というキーワードの答えとなります。
3. 隣人から掘削許可や境界確認の許可を得るには?
隣人とも良好な関係を築けているのであれば、例え物件を売却することになった際にも問題なく掘削許可やいわゆる境界確認の許可を得ることができるでしょう。
しかし、特に都心部になるとなかなかそうもいかないのが実情です。
なかなか従来のようなご近所付き合いができず、コミュニケーション不全の隣人というケースもあるでしょう。中には隣人がどんな人なのかも知らず、その名前すらも知らないというケースもあるのではないでしょうか。
このようにコミュニケーション不全が続いていると、いざという時に隣人から掘削許可などを得ることができないケースもあります。長期にわたってコミュニケーションがない隣人の場合は特に、いきなり訪ねていって掘削許可をもらうというのが難しいケースもあり、隣人から押印を拒否されてしまうという例もあります。
実例としては物件を売却するにあたって、ギリギリの段階で初めて隣人から押印を受けていなかったことが発覚し、土地の境界確定や様々な作業が行えなかったという例もあります。この場合は取引も全て白紙に戻ってしまう危険性をはらんでいますので、事前に確認の上対応を取らなくてはなりません。
少なくとも、代金の決済時や契約の確定時までにこれらの条件が揃っていないと取引が成立しないケースがほとんどですので、物件の売却前に確認しておくとよいでしょう。また、確認が煩雑で難しいという場合は物件売却の際にプロに相談するというのも一つの方法です。
しかし、ある程度日頃からご近所付き合いなどを行いコミュニケーションを取っておくことで、コミュニケーションが取りやすくなるという可能性もあります。
家族ぐるみのお付き合いとまではいかなくても良いのでしょうが、やはり最低限の挨拶やご近所付き合い、また引っ越してきた際の挨拶などについては欠かさずに行っておきます。
また、自宅に簡単なリフォーム工事などを入れる際にも工事車両の停車などで迷惑をかける可能性があることから、きちんと隣人に対して挨拶をしておくというのも今後のために良い心がけになるでしょう。
4. まとめ
家を売る時に隣人の押印が必要な場合もある、というのは正確には「隣地との境界確定や掘削許可に関係する内容で押印が必要」というのが答えでした。このように物件を販売する際には隣人の許可などが必要なケースもありますので、物件を売却しようと思い立った時には出来る限り早い段階で隣人とのコミュニケーションが円滑かどうか、またこのような許可を事前に受けているかどうかについて確認しておきましょう。