2020年現在、不動産投資信託(REIT)は大きな変化の中にあります。REITの種類によって、時価総額が変化しつつあり、今後も続く大きなトレンドになる可能性が出てきました。今回はこの変化について、解説しますので今買うべきかどうかの判断にお役立て頂けると幸いです。また、実際にどのような人がREITを活用するのが良いのか、不動産投資信託はどのような人に向いているか?というテーマでもご紹介をしていきます。
2.ホテル系不動産投資信託(REIT)
3.物流系不動産投資信託(REIT)
4.不動産投資信託(REIT)はどのような人に向いているのか
4-1.数年以内にイグジットしたい人
4-2.市場動向が読める人
4-3.余剰資金がある人
4-4.プロに資産運用を任せたい人
4-5.分散投資をしたい人
5.まとめ
前置き
不動産投資信託(REIT)について、まず意味や活用方法を知りたい方は以前公開させて頂いたこちらの記事をご覧頂けると幸いです。
不動産投資信託(REIT)とは
1. オフィス系不動産投資信託(REIT)
結論から申し上げるとオフィス系の不動産投資信託(REIT)は時価総額が軒並み下落しています。
今まで不動産投資信託(REIT)の時価総額トップは日本ビルファンド投資法人が運用するオフィス型のREITでしたが、2020年7月10日に日本プロロジスリート投資法人が運用する物流施設型のREITが時価総額トップになりました。
これはコロナの影響の象徴的な出来事であり、ニュースにも取り上げられています。
原因としては明白で外出をせずに自宅にいることが増えることでネット通販、すなわち物流の需要が増え、逆にオフィスの需要が減っているということです。
まず、今回の新型コロナウイルスの影響で今までオフィスに出勤していた多くの会社員が在宅勤務になりました。
その影響はいまだに続いており、一部リモートワークを継続している企業も少なくありません。
また、リモートワークでも業務が問題なく回っておりオフィスがそもそも要らないんじゃないかといった考え方もチラホラ聞くようになりました。
数は数えるほどですが実際にこの機にオフィスを解約して全社員リモートワークに変更した会社も出てきました。
このようにオフィスの需要が低下していることは確かな事実です。
しかし、7月になってから都内の電車乗車率を見るとわかるようにコロナ前の満員電車に近い状態まで戻りつつあります。
できる限りオフィスに出社するという日本人らしい真面目な面が出てきており、数か月程度のコロナウイルスの影響ではリモートワークはまだ定着していないと言えます。
コロナウイルスは最大2年間続くとも言われていますが、完全に収束するのを待たずにほとんどの会社員は今まで通りオフィスに出社するようになると思われます。
以上のことを踏まえると、時価総額が下がっている今、5年や10年以上のスパンで保有する前提であれば買い時と言えるでしょう。
しかし、まだまだ下げる可能性もあるので、下げ止まりを見極める必要があります。
2. ホテル系不動産投資信託(REIT)
ホテル系不動産投資信託(REIT)もオフィス系不動産投資信託(REIT)とともに時価総額が下落しています。
こちらも原因は明白で2020年東京オリンピックに向けて急ピッチで宿泊施設を建設したにも関わらずオリンピックは延期、観光客も激減しているからです。
オリンピックに関しては今のところ2021年に延期ということになっていますが、2021年も実施できるのかはまだ分かりません。更に翌年に延期になるのか、中止になる可能性も十分にあります。
観光客に関してはオリンピックに関係なく、世界的にコロナウイルスが収束するまでは少ない状態が続くでしょう。
仮に、日本と一部の国は収束したとしても、限られた国からの観光客に留まったままだと数は少ないままです。
特に日本への観光客の多い中国でコロナが収束する必要があります。
コロナウイルスが世界的に収束し、オリンピックも東京で開催することになれば、今の下落の反動で一気に時価総額が上昇する可能性が高いと思われます。
また、もっと長期的なスパンで見れば、アジアの新興国が急速に経済成長しており、日本は相対的に物価が下がり続けています。
アジアの中では一番サービスの質が良くて、海外から見ると物価が下がり続けている日本はアジアの中で注目されており旅行者は増加傾向にあります。
コロナウイルスが収束すれば海外からの観光客は確実に増加すると思われるので、オフィス系REITと同じく5年や10年以上のスパンで保有する前提であれば買い時と言えるでしょう。こちらもまだまだ下げる可能性もあるので、下げ止まりを見極める必要があります。
3. 物流系不動産投資信託(REIT)
こちらは1,2項と比較すると象徴的に時価総額が上昇しています。
理由としては1項で述べたようにネット通販市場の利用者が増加したためです。
自宅にいることが増えた影響で様々なシーンでネット通販の利用者が増えました。
生活雑貨の通販、お取り寄せグルメ、ウーバーイーツなどの出前、洋服の通販など多岐に渡ります。
トラックの運転手はコロナ禍の中、フル稼働で物流を支えています。
物流の市場規模が大きくなると、それに伴い倉庫や関連施設の需要が高まり、家賃は下落どころか上昇している物件もあるようです。
そのため、物流系不動産投資信託(REIT)の価値は必然的に上昇します。
ネット通販は元々市場規模が毎年大きくなっており、コロナ禍が収束しても市場が規模が大きく下落することは可能性が低いと言えます。
一度使うとネット通販の便利さに気づき、コロナに関係なく継続して利用する方が多いからです。
物流系不動産投資信託(REIT)を今買うかどうかという話に戻りますが、今は既に上がってしまっているので買い時ではありません。
今後、時価総額が大きく下がる可能性も低いのですが、物流の市場規模に影響のない原因で価格が下がる局面があれば長期的に見て買う事を検討するのがいいでしょう。
4. 不動産投資信託(REIT)はどのような人に向いているのか
4-1. 数年以内にイグジットしたい人
不動産投資信託が向いているのは、数年以内のイグジットを検討している人、また出来る限り早くイグジットしてしまいたい人です。
なぜなら、現物の不動産投資だと、実際に物件を取得して保有し続けることで徐々にその収益が上がるような形になるからです。
つまり、不動産投資を現物で行うとなると、まず物件の取得にローンを組む必要があります。自己資金で全てまかなうことができるケースもありますが、それでもやはり家賃収入などで物件の取得にかかった費用とローンにかかった費用の利子などを完済するまでにはかなりの時間がかかります。融資を使った場合は物件が生み出す利益から利子も含めて完済をしてその上で収益を出し、物件取得にかかった費用を全てペイして初めて収益が出ることになります。
ある程度の収益を出してイグジットするとなると数十年単位の時間がかかることもあるでしょう。このため不動産現物投資をする場合はかなりの年数を見越して取り組まなくてはなりません。反対に不動産投資信託の場合はイグジットまでの時間が比較的早いため、数年単位での進行を考えている場合は非常に理にかなったスキームと言えるでしょう。
4-2. 市場動向が読める人
また、市場動向が読める人については、比較的短期間のうちに利益を出すことができるケースもあります。
例えば業界の市場の動きなどをきちんと読んでいたり、その他豊富な情報源がある場合は、不動産業界の市場が今後どの分野で伸びるということを早めに情報としてキャッチしたり「読み」を利かせることができるケースもあります。その場合には任意のタイミングで不動産投資信託を購入することにより、比較的短期間で利益を生み出すことが可能な場合もあります。
4-3.余剰資金がある人
また、余剰資金がある方については、不動産投資信託に問題なく進出するというケースもよく見られます。特に、現物の不動産投資に長いこと取り組んでいて、すでに手元に余剰資金が出てきている方なども挙げられます。
その他、最近は仮想通貨バブルと言われる時期を経験した方も増えてきており、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨バブルに乗って莫大な余剰資金を生み出したという方もいらっしゃるでしょう。そういった方の中でも最近は仮想通貨から不動産投資信託に乗り換える方もいらっしゃり、余剰資金を持って不動産投資信託で成功を収めるという方も増えてきました。
その他、遺産相続やご家族の保険金などによって莫大な余剰資金が生まれた場合に、向こうに預けているだけでは心もとないので余剰資金でお金を生み出すことにチャレンジしてみよう、と思い立つ方も増えています。
いずれの場合も、現在の定期預金などの金利では全く期待できないため不動産投資信託に進出するというのが既定路線です。
4-4.プロに資産運用を任せたい人
不動産業界で投資を行いたいものの、自分では不動産物件の目利きには自信がなくて誰かに資産の運用を任せたいというケースもあるでしょう。そういった場合はある程度プロに資産運用を任せることができる不動産投資信託がお勧めです。
不動産投資信託は文字通り「信託」となりますので、不動産投資の経験が非常に豊富なプロがその資産の運用を代行する形となります。
いち個人の目利きだけでは到底手が出せないような案件についても、プロの手によって着手することが可能となっており、また、実際に付き合いを持つ様々な業者についてもやはり業界に参入の投資信託で数々のコネクションやパイプを持つ不動産投資のプロが選定、または指示・監督することが適当というケースもあるでしょう。
4-5. 分散投資をしたい人
不動産投資は現物投資の場合、一つの物件や建物に大きなリソースを割くことになりますので、結果的に分散投資ができないケースもあります。
しかし不動産投資信託の場合は不動産投資のプロにその取引を任せることになりますので、分割投資・分散投資が可能なケースもあります。
リスク分散の観点から分散投資に取り組みたいという場合は、その旨を投資信託のプロに相談することも可能でしょう。
5. まとめ
このように、不動産信託投資は不動産の現物投資と異なり、少ない資金からスタートすることも可能な投資のスキームとなります。また市場動向が読める方や数年以内にイグジットを目指して行動している方については不動産現物投資よりも不動産信託投資の方が向いているという場合もあります。
また分散投資を希望する場合にも、必ずしも不動産現物投資がマッチしているとは言い難いケースもありますので、その場合には不動産投資信託についても検討してみると良いでしょう。